向かい合わせの季節と夢を

 あなたは春
 あなたがいたから、僕は大切に思える場所を得られた
 最初に出会ったのは、だから春

 あなたは花
 美しく咲き誇り、世界に彩りを添える
 いつまでも消えない、初恋の香り

 あなたは太陽
 周りを明るく照らし、輝きを与える
 最初に出会ったときから、僕は月

 二人は「似ている」と言われ
 僕はそれにうまく答えることができなくて
 だけど今なら、少しは分かるのかな
 二人の記憶はやがて薄れ
 それでもふとした刹那に思い出す
 頬を伝う涙はあなたのためか、僕のためか
 悲しいときには涙を流すしかないと
 僕は、つくづく思い知る
 そうでなければ、もう二度と言葉は紡げない

 あなたの声
 甘いソプラノに幼き僕は誘われ
 差し出された手をいつまでも握る

 あなたの笑顔
 好きだった、愛していた、こんなにも
 想いを伝える難しさ

 あなたから
 向かい合わせの季節と夢を受け取った
 深夜に誓う、あなたとの約束

向かい合わせの季節と夢を

向かい合わせの季節と夢を

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-09-08

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