あしたになったらいなくなる

 あしたになったらいなくなるキミへ。
 あしたになったらキミはいなくなるね。空を飛んでいなくなるのかもしれないし、海を泳いでいなくなるのかもしれないし、土を掘って地下に潜っていなくなるのかもしれないし、高層ビルの屋上から飛び降りて地面に到達する前に消えるのかもしれないけれど、キミがいなくなることは決定している。確定している。運命である。キミがいなくなることは世界を掌る神様(そんなものが実際にいるかどうかは知らぬが)が増えすぎた人間を減らすために地球という箱庭から定期的に不要なものを取り除こうとする行為の犠牲であり、キミは不名誉ながら神様に選ばれた不要物であるのだ。
 かわいそうだね。
 ぼくが代わってあげたいと思うのだが、ぼくは神様との連絡手段を知らない。

あしたになったらいなくなる

あしたになったらいなくなる

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-04

CC BY-NC-ND
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