くもりぞら

もう五月なんて言ってるうちにもう六月なんて言ってるうちに


ひげそりのひりひりとして今日一日耐える痛みのまずは一つ目


くもりぞら ここから今日が始まるというんじゃ先が思いやられる


よく見てはいないがきっと犬だった繋がれて四つ足のハアハア


工藤さんは何を食べてもおいしいと言う、ってだってそうなんだもの


孫どころか子も妻もなく取り出した定規で背中がしがしと掻く


眠ったと思った人が起きていた頬杖の上に目がカッと開(あ)く


気がつけばすごい技術のフルートの曲が流れてまだ人を待つ


じゃれあって下校してくる三人の近づけば金銭の話だ

くもりぞら