思い出ばいばい

みなさんの暇つぶしになればいいなと思い書きました。

貴方の思いと引き換えに誰かの思いを覗いてみませんか?

私は待つ。苦しい思いを持ちながら。
『彼』を待つ。ふ、と思いに目をむける。が、すぐにそらしてしまった。早くこんなものとは別れたい。と向こうから木製のワゴンの軋む音が聞こえた。『彼』だ。そう思いぱっと音の方へ向き彼を呼び止めた。
「すみませーん!」
と、声をはりあげると声に気付いたのだろう。直ぐにこちらに来た。そして何か古そうな帳簿を取り出し私の顔と交互に見ている私が声をかけようとしたとき、『彼』が口を開いた。
「えーと...浅川夕希さんでいいですか?」
そう『彼』、いや、下水流匡洸(しもずるまさひろ)は言った。
下水流さんにそう問われ「はい。」と答えた。
「いつも私の店を使ってくれて有難うございます。」
「いえ、此方こそこんな見苦しい思い出を貰ってくれていつも感謝しています。」
「いや、思い出は私たちの宝。たとえ見苦しくても私達にとってはとても大事ですから。」
照れたようにそう言うと、
「では今日はどんな思いをお持ちで?」
と聞いてきた。私は持っていた思いの袋を見せ、中身の説明をした。
「今日は【哀しい】と【苦しい】です。」
そう伝えると下水流さんが顔をしかめ、
「またあの彼氏さんですか...」
と、溜息をついた。しかし私はその独り言のような質問を気にすることなく頷いき、
「これでいくら観れますか?」
と、聞いた。
彼は諦めたように
「3つって所ですね...」
と言った。やはりここの店はいい。この思いで他人の良い思いを観ることができるのだから。私は早速下水流さんに2つの思い出渡し、ワゴンの中を見た。ガサゴソと漁っているとふと目に付いた思いがあった。其れは、【焦り】の思いだった。今までに見たことがない奥深い気持ちだった。私は下水流さんに
「この思いは一体...?!」
と、聞いた。すると、下水流さんは少しニヤリとすると、
「まあ見てみて下さいよ。」
と、一言言った。私はその思いにそっと手を触れた
と、その瞬間体に衝撃が走った。
「......ッ!」
自分の体がまるで磁石のように思いと繋がる。こんなに相性のいい思いは見たことがない。やっとの思いでその思いの深淵を覗けた。これは...別れの時?
突如告げられた別れの言葉に【焦り】を隠せていない。誰の思いだろうと其の女の顔を見た。
そこにはいつも見ている顔があった。絶対に見間違えないだろう。なぜなら其の顔は
[私の顔なのだから。]
私はその思いから手を離し下水流さんに向かい言った。
「この思いは私自身の思いだったんですね。」
下水流さんはなにも言わず頷いた。あの思いは私の11人目の彼氏と別れた思い。私は積まれている思い一つ一つに手を触れた。【悔しい】、【切ない】
【寂しい】...。私の思いだけしかそこにはなかった。そうしていると下水流さんがポツリと呟いた。
「私はあなたの心にいる未定義の存在。ここはあなたの心の中なんです。」
其の言葉ですべて分かった。私は23人目の彼氏と喧嘩になり、重体の状態で病院に運ばれたのだった。
「あなたの帰りを待っている人が居ます。早く元の世界に戻り安心させてあげてください。」
其の時、周りの世界が崩れてきた。
「待って...!貴方は...!」
言い終える間に私の下の足場が崩れ私はお ちて い っ た 。





「...。」
私は無機質なベットの上に管だらけの体で天井を見ていた。隣を見ると母が眠っていた。目が腫れている。ずっと私を見ていたのだろう。私は胸に手を当て心音を確認する。トク、トク、という振動が伝わり安心した。其のつかの間、下水流さんのことを思い出した。彼は私の5人目の彼氏。今までで一番長く続いた相手。一番近くにいた存在だから、私の心に出てきたのだろう。そこで私はあることに気づく。【焦り】、【寂しい】などの思いがなくなっていた。あの世界は偽りの世界だったのだろうか。そんなことを考えながら私はゆっくりと瞼を閉じた。

思い出ばいばい

もともと、昔の僕の漫画でしたが絵がひどく、文章で投稿して見ました。といっても、文章もいいとは思えませんが...。
これからはプロフィールにも書いてある通りリポグラム風の小説を書きたいと思います!
其れではまた次の小説で会いましょう。
have a nice novel!
はこのなかみ

思い出ばいばい

ある日浅川夕希は思い出を売る店で思い出を探していた所一つの思い出に目がいった。其れはある一つの【焦り】の思いだった...

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-27

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