フォーカス

 わからない。

 なにがわからないのか、それすらも。

 わからない。

 じぶんがなにに、そんなになやんでいたのか。


 おおきなこととだ、と、おもっていても。

 ときをへれば、ちいさなことであった、と。

 そしてまたときをへれば、やはり、おおきなことであったのだ、と。


 それはものごとの、おおきいちいさいではなく。


 あたまのなかのきかんしゃに

 つぎつぎとせきたんがくべられ

 もうすぴーどで、はしりだす。

 
 そうして、もう、

 なにもみえない、

 きこえない。

 
 みえるのは、せんろのはるかぜんぽうの、

 1てんだけ。


 まわりにどんなに

 うつくしいふうけいが、

 うつくしいはなが、

 ひろがっていても。


 はるかこうほうにとおざかってしまった、あのえきで。

 やさしくしてくれたひとが、

 あいしてくれたひとが、

 まもってくれたひとが、

 いまでもけんめいに

 てをふっていてくれていることにも。


 きづけずに。

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-20

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