いろいろなガール

いろいろなガール

結局はひとりぼっちガール

私は友達と関わるのがめんどくさい。
もう何なんだ、うんざりするんだ。この関わりにさ……。
「魅夢ちゃん、筆箱の中身見ていい?」
めんどくささを感じたのは小学生の時だ。
腹が立つんだ、このやりとりは……。

「うん、いいよ」
どんな気持ちか分からないでしょう?
私の心情、読みとれますか?
闇の感情、心情は闇の中できれいにうごめく。

「魅夢ちゃーん」
「好きな人できた」
「昨日初体験したー」

夕日に染まる崩壊後は机に突っ伏して考え事をしていた。闇は溶けず、おたまじゃくしのように動くんだ。綺麗でくっきりした闇は。

本日の昼休み、こんな声やら話がもうね、聞こえてきましたね。

人付き合いをめんどくさがるようじゃ、やってけないな。

下田魅夢(しもだみむ)。これが私の名前。

1人じゃないけどめんどくさがり屋な性格。
夕方には捨てられるし、心は闇。

わたしは なにがだめなんでしょうか

稚拙なプロフィール完成。

カタチだけの友達とかやだ!とも言えず叫べず、
明日も明後日もリレーのようにカタチのフレンドを作っていきます。

寒空、夕空、黒いうさ耳のパーカーを高校生になっても着ている私は痛いのでしょうか。

誰か ひとりぼっちの私を助けて──────。

ストーカーガール

「また来たのかよ、大崎」

「はい!また来ちゃいました!」

敬礼をして、好きな人、笠倉結夢君を追いかけてきました。

現在ストーカー中。彼は一目見て気に入った。
私は眼鏡男子がオタクでも大好き。
一目見て気に入ったと言うショッピングみたいな扱い。

「来るなよ」

「えっ?良いじゃん別に!」

冷たい一言は、拒否を意味するんだだだだだっ!

「迷惑なの分かんない?携帯弄りながら帰りたいわけ。お前に追いかけられる挙げ句、携帯の画面勝手に見るわで最悪だな」

……確かに最低かもしれない、けどね、笠倉君のことどう思ってるかあなたには分からないよね。

「ごめん、それは謝るわ。でもさ、私笠倉君の事どこが好きか教えてあげるよ」

良いよね、別に。

「ふーん、言ってくれる。出来るだけ明確にさ」

「わかった。まず一つはさ、笠倉君のルックス!眼鏡!ブサイクっぽいけど、私そういうとこ好き!」

……好きな、片思い相手にブサイクは無かったかなって、ちょっと後悔したけど。

「眼鏡男子は好きとよく聞くな。でも、ブサイクはねぇな」

風に揺れる髪が何だかすてきに思えた。
抱きしめたくはないけど、見るだけでも良いよね。

「あ、そこはごめん」

聞かない訂正になんだか笑っちゃう。

「もうそろそろおれ、行きたいんだけど。
まだあるなら話しながら行くか?」

えっ、と私の心はハートになった気がする。
もぎたての熟したハートはどこまでも濃厚な気がする。

「行く!」

恋は子供になってしまう。
恋は時には盲目になるってこともあるよね。

彼と少し距離を離しながら、歩く私たち。
こういうのが現実となると、避けちゃうね。

あれだけ笠倉君のこと妄想してたのに、実際は離れてるじゃん。理想と妄想ってまったく違うな。

ストーカーはやりすぎたかな、でも反省してない、反省の色とかないし。

「で、ふたつ目は?」

携帯を見て歩く彼、危ないの分からないかな。 

「笠倉君の髪!揺れる髪がとても好きです!
素敵だと思っています」

そう言えば、彼は普通に笑った。
可愛い笑顔とは言いがたいけど……。
なんか、歯を見せただけの笑い方じゃない?
もう……。

「素敵か?嘘やろ?」

あ、標準語消えた。
待って、今のもキュンキュンポイントだよ!

「あ、今の笠倉君も好き!」

「今言った事が?」

「うん」

なんかドキドキを誘ってますみたいな?

「はー……大崎は変なやつ。ツインテールとか健気すぎて困るわ、後、ストーカー野郎だし……。なんか、見てて嫌じゃないけど、びっくりだわ」

言われた一言と共に風が吹いた。
彼の言うことは否定じゃないのに、呆れた感想みたいで。

「……大崎ありさ、だっけ?」

「うん、正解」

分かってくれるのがとてもうれしい。
なんか、笠倉君を理解者と取ってしまう自分がつらい。

「変わった奴だけど、いいパンツ、じゃなくて
いい奴だな」

パンツだけはやめてっ!
そう苦笑しつつも……。

「馬鹿っ……」

「じゃあな、大崎。何時かの出会いに、また!」

「……ばいばい」

なんかわけ分かんないから手をふった。
何時かの出会いってなんなの……。意味深すぎて。

彼は、何者なんだろうと思わせるセリフを匂わせてスタスタ歩くんじゃないよ……!

モヤモヤしつつも、私は彼を追いかけた。
嫌われる覚悟で居たいな、っていう私は変人ですか。

「笠倉君……」

遠い背中にモノを言う私が居ます。
受け止めてはくれないよね。

今、キモい私があなたを追いかけます。

笠倉君の家まで追いかけ、ついたのは白い一軒家。

入ろうとしている彼に、私は、
「こんばんは。結構遠いんだね?」

「ぎゃっ!大崎」

「びっくりしたわ、待って。さっきの意味は何なの?」

彼の手を捕まえ、笑った私。
意味深なら探りたくなるのよ……。

「意味分かんないけど、多分大崎へのメッセージ」

メッセージ?
彼の思いは分からない。つきあいなんかさっきので一瞬だから。

「じゃ、また明日」

……様子がおかしくて、なんか心配する。
でも明日になったら、明日の笠倉君だよね?

ストーカー歴、一週間だし、分からないけど。

いろいろなガール

いろいろなガール

色々なガールが存在します

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-08-19

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  1. 結局はひとりぼっちガール
  2. ストーカーガール