私が散文逸脱していることについて

最早意味不明。

数多の不評を買ってきたが、最早捨て鉢、後悔はない。

注意:ここからフィクションです。


私が普段からふざけた文章を書いては、世に発表していることについて、甚だ遺憾の意を述べたい。
お蔭でご近所には不評の不評、商店街を歩けばヤジが飛び、公園を歩けば鳩が飛び立ち、カラスが追い立ててくるし、雀は喧しい。
でたらめにリンダリンダを歌って応戦すると、「黙れ黙れ!」とばかりに煽り立ててくる一方である。

あの旧校舎が取り壊される件で、私は確かに教授方のある事無い事記事にしてばらまいたが、あれは称賛されるべきだと思う。
だから逆に教授方に着き非難してきた連中の醜聞を私が書いて回ったとして、それは罰せられるものではない、と私は主張する。断固斬首に値する!と生徒会に断言されたときは心臓が止まるかと思ったが、冗談ではない。こちとら商売代わりに給金貰って書いているのであって、そしてそれに若干偏った正義感をプラスして書いていたとして、それは非難されるべきことではない。相手を間違えている。

「発注元に言えよ、発注元に」

そう言って生徒会代表で来させられた一年生の半泣きの女の子をドアの外へ促すと、くすんくすんと泣かれてやり場に困った。
私は女の端くれだし、抱き寄せて慰めるわけにもいかない。

「ラーメン食べる?」

そう聞いてみるとこくりと頷くので、ひとまず泣き止ませて塩ラーメンを食べさせ、その日は帰らせた。
さてこの日からこの子はいじらしく、私の家の前に来ては、雨の日も風の日も私が学校に登校するのを待っているのである。
冗談じゃない。こちとらネット相手に拡販、拡散させていってあの学校を廃校に追いやろうと考えていたのに、こんな子犬がきゅーんと泣くような真似をされてはキーボードも手に着かないではないか。

私は何も食べないがゆえにへこんできた腹を更にへこませてむむむ、と唸っていたのだが、やがて女の子が弁当の差し入れなどしてくるようになって、若干心を開きかけた。が、すぐにぱたんと閉じた。

その手には乗るか。こちとら食べ物で釣れるほど軽くないやい。

私はちらし寿司風ふりかけの四色弁当をむしゃむしゃと食べながら、ドアの外にぽいっと空の弁当箱を投げつけて、反応を待ったが、意外と女の子がほっとしたように笑っているのを見てどきりとした。

しかし私は女の端くれである。
なんのラブコメだなんの、と自分を叱咤して、意外とあの子はこちら側の人間なのかもしれないぞ、と絶望的観測をした。

ネット上では「もういーかげん学校に来いよ」「ここまでしつこいと愛想が尽きるわ」と意見がまるで私が自ら引きこもりになったかのように書かれており、その手には乗るか、と私はますます頑なになった。

それから数多の幾年が過ぎ、私が一人癖が着いてちゃらけて町へ繰り出すころ、学校は文化祭であった。

「順子さん、学校、行きましょーよ」

あの子がまたくすんくすんと泣いていうので、社会に適応しかけて大人の階段を上っていた私は、つい「この子ももう三年生かぁ、もう意味ないのに何をそんなに頑張るのだろう」といじらしく思え、「ああいいとも、行こうか」と応じてしまった。

るんるんと手を繋いでまるで成長しない彼女に、「ああ心のきれいな子だなぁ」と思いながら学校へ行くと、なんと私の学年の頃のメンバーが、まんま学校で屋台やら何やらやって、集まっている。

なんだなんだ、と思っていると、せーの、と声がし、パーンと空中で玉が割られた。

「順子さん、引きこもり脱出おめでとーう!」

最後まで、私は阿呆にされた。私の感想はただそれのみ。

ただただ苦痛の時間であった。あの子はちやほやされるばかり。こちらは肩を叩かれたり、かつて私を一方的に追いやった憎き連中に馴れ馴れしくされて、心の中で憤怒の形相である。

「いやー、色っぽくなっちゃってー」

かつての生徒会長のそんな大学のサークルで堕落したであろうスケベなタッチに、私はバシッバシッとその手を払いながら、「ふざけんじゃねえよ!」と叫んだ。
それすら、もみくちゃにされて消されていく。やんややんやのお祭り騒ぎ。

彼女は、果たして天使か小悪魔か。

私には測りかねる。
斯くして一人籠城の正義の戦いは、ここに幕を閉じたのである。

私が散文逸脱していることについて

固定観念意識無念、最早意味不明。

私が散文逸脱していることについて

む、無念である。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-13

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