【大事な君に、愛を注ごう】 たぬさに←へし+歌仙
ハローハロー、漆黒猫でございます。
アテンション→漆黒猫は刀剣乱舞、未プレイ民。
とうらぶの何が怖いって、愛が深過ぎて、クラスタ怒らせるとコワそうってのが。
未プレイ民なので、キャラブレはご容赦を。
キャラへの愛はちゃんとあるんですっ。
たぬき。
刀である自分を戦いの道具だと割り切ってる、『戦闘狂』というより、『戦闘家』。
武骨で頑丈、デリカシー極少の無愛想氏が、病弱なパートナーを一生懸命守ってる姿に萌える・・・!!
長谷部氏は、逆に『戦闘家』ではなく『戦闘狂』だと思ってます。
だがソコが良い。
前作とは別の審神者さんです。
【大事な君に、愛を注ごう】 たぬさに←へし+歌仙
病弱な女だった。
「39.9度。
大人しく寝てろ。」
「また・・・。
ごめんなさい。いつも書類の締め切りが重なる時期に寝込んじゃって・・・。」
黙って窘めるように、同田貫正国の武骨な掌が、彼女の前髪を掻き上げる。
掛け布団をその細い顎(おとがい)まで引き上げた彼の主君は、彼の体温に気持ち良さそうに目を細めた。
正国としては、愛おしさより嘆息が先に立つ。
「気にすんな。つかアンタが寝込むのは、別に今の時期に限った事じゃねぇし。
主の仕事を代行するのも近侍の務めだ。初鍛刀となりゃ尚更だろ。それより何か、欲しいモンはねぇのか? 卵粥なら今、歌仙兼定が作ってるが。」
「平気です・・・。
熱・・高いのが辛いだけ・・・。」
「確かに、40度は危ねぇな。
少し下げとくか。」
スルリと、正国の指先が彼女の目許を撫でる。察した彼女が、フワリと優しく笑う。
その笑顔は悪くないと、正国は密かに気に入っていた。
「・・・・。」
力なく横たわる彼女の細身に正国の、しなやかな筋肉に覆われ、骨格のしっかりした武骨な体が覆い被さる。
敷布団についた彼の掌の下で、彼女の黒髪が僅かに軋む。
衣擦れの音が近くなる。
2人の唇が、
「君たち、何をしているのかな?」
『解熱剤の処方。』
「毎度毎度、キスで霊力の遣り取りをするのは止め給えっ!!
雅じゃないっ!!!」
初期刀の抗議に怯みもせず、彼女の髪の一房に口付け、一瞬で霊力を分け与えると、正国は『素直』に主君の寝室から退散していった。
彼女の枕元に卵粥の土鍋を置きながら、歌仙の目が半眼になっている。
「・・・先日の演練で、他所の本丸の『同田貫正国』を見かけたよ。
良い意味での戦闘家。『彼』の主君も女性だったが、およそ、体調回復にかこつけてキスを狙うようなタイプには見えなかった。正直、ウチのと全然繋がらなかったんだけど。」
「あら、歌仙殿。
私の正国殿も、別にわざと『かこつけている』訳ではありませんよ? 経口で、直接体内に霊力を流し込むのが最も効率が良いから。だから『そう』しているだけです。
質実剛健、効率優先。
他所様の『同田貫正国』殿と、本質は何も変わりません♪」
「うん、まぁ・・・君が嫌がっていないのなら、構わないのだけど、ね・・・。」
実際、この『解熱剤』が一番効くのだ。確実に1度か2度は下がる。しかも霊力の相性があるとかで、彼女に『処方』出来るのは目下、正国だけなのだ。
(『私の正国殿』、ね。)
この一言を、へし切り長谷部が聞いたならば。さぞ手合わせが荒れる事だろう。
歌仙は苦笑しながら土鍋の蓋を開けた。
―FIN―
【大事な君に、愛を注ごう】 たぬさに←へし+歌仙