君に触れたいだけなのに】 岩→さに+石【刀剣乱舞】

ハローハロー、お久しぶりです今日和♪

色々と煮詰まっていた漆黒猫です。
超短い・・・。
がっつり、長いの書きたい・・・。

まぁリアルで色々あったので、再び書き始められただけ良しとすべきか。

折角書いたし、リハビリ兼ねて上げさせていただきます。

漆黒猫は刀剣乱舞、未プレイ民です。
元々ゲームやらない猫な上に、戦略とか能力上げとか、複雑なルール訳判らん・・・。
でもキャラは魅力的で好きです。

好きですが未プレイ民です。←大事な事なので二度。

キャラがブレブレでも石を投げないで下さいwww

設定的には、『柊さん』は審神者の従者的な立ち位置です。
あんま関係ないですが。

君に触れたいだけなのに


「解せぬ・・・。」


 岩融は真剣に悩んでいた。
 冗談を言えば笑ってくれる。傷を負えば悲しんでくれる。好物は覚えていてくれるし、嫌いな物からは遠ざけようとしてくれる。兄弟刀には良くしてくれるし、岩融自身にも、たまにお茶目なサプライズなどしてくれたりする。

「実に解せぬ・・・!
 どのように思案しても、何かがおかしい・・・!!」

 何をどう悪く受け取っても、『彼女』が岩融を嫌っている、という結論には達せられないのだ。悲しい事に・・・否、悲しくはないが。
 だがしかし。
 触れる事が出来ない。
 初見したその日から半年、『彼女』を目にしたその日その時から、岩融は一度たりとも『彼女』に触れていないのだ。『指一本』。
 恋人同士ではないのだから、閨に忍べない、などというのは判る。だが本丸というひとつ屋根の下で暮らしていて、寝食を共にしていて。食器の受け渡し時、書類の確認時、作戦の遂行時、受傷後の手入れ時。
 仲間内でも一番の大柄な体躯持ちである岩融の体に、服にすら。『彼女』の白い指先が、掠めもしないのは何故だろう?

「石切丸よ、どう思う?」

「普通に嫌われてるんじゃないかな、君。」

「・・・ほっほぉ、俺の機嫌が悪い事を知っていて、喧嘩を売ると?
 高く買ってやるぞ、祈祷厨。」

「ふふふっ、その祈祷厨の部屋に、わざわざ足労する目的は何かなぁ?
 狩猟厨♪」

「・・・・・・。」

 全て見透かした兄弟刀の余裕の笑みに、本丸唯一の薙刀は苦虫噛み潰して押し黙った。武蔵坊弁慶の無二の相棒、という肩書も、色恋沙汰の前では役に立たない。
 トテトテと軽い足音が、かなり遠くから聞こえてくる。石切丸の部屋を目指して。
 小狐丸並の聴覚を発揮して肩を揺らした岩融に、文机の前で祝詞を書いていた石切丸は呆れの溜め息を吐いた。鬼神の如き男と共に999の刀剣を狩った大薙刀が、既にしてソワソワと胡坐を崩し、髪を撫でたりなどしている。女が初めてでもなかろうに、まるで初恋に胸焦がす健全な青少年だ。
 鯰尾や獅子王辺りがやれば可愛げも出ようが・・・、身長203cmの大男にして欲しい仕草ではない。
 だから石切丸は、兄弟刀の気安さも相俟ってこう思う訳だ。
 ウザい。早く出て行け。
 否、その前に多少当てつけてやっても、罰は当たるまい。

「失礼致します。
 石切丸殿、御在室でいらっしゃいますか?」

「お帰り、柊(ひいら)殿。
 買い出しはどうだったかな?」

 何の緊張感もなく、親しみの籠もった気配。
 障子を開けた『彼女』は、石切丸にだけでなく、岩融にも笑顔全開で会釈した。やはり、岩融にだけ不愛想、などという真似はしない。
 欲しい物が一度に全部手に入って、ご機嫌な時の顔だ。その区別が付く程度には、『2人共』、既に彼女の事をよく知っていた。石切丸も、岩融も。
 『彼女』の温度を、肌の温もりを、知らないのはこの本丸で『岩融だけ』だ。

「ご要望のお品は、全て恙なく。
 料紙は消耗品でございましょう? 少し多めに買っておきました。」

「ありがとう、柊殿。
 やはり貴女は頼りになる。」

 障子の向こうから顔を出した彼女を、その細身を。石切丸は、彼女に話し掛けるタイミングを図っている・・・図らないと話し掛けられもしない、岩融の眼前で。
 ぎゅぅっと、正面から強く抱き締める。

「あらあら、石切丸殿。まるで童のような。」

「書き物に疲れた。今少し、このままで。」

「それは宜しいのですが・・・新月の夜道に、御留意を。」

「ソレを貴女が言うのかい、柊殿。」


    パシッ  ビシッ  タッ  ヒュッ・・!!


 愉悦の笑みを含んだ石切丸の声に、苦笑の混ざった彼女の声。
 石切丸の腕の中、彼の胸に凭れるようにして抱き竦められている彼女の背後では、間断なく攻防が繰り広げられていた。据わった半眼で彼女の身柄を奪い取ろうとする岩融と、黒い霊気を漂わせつつ、余裕の笑みで兄弟刀の剛腕を捌く石切丸。
 三条の誇る薙刀と大太刀は、粟田口の短刀たちが彼女を探しに来るまで、ずっと彼女を挟んで興じていて・・・。
 そして岩融は結局、やっぱり彼女に触れる事さえ出来なかった。


                       ―FIN―

君に触れたいだけなのに】 岩→さに+石【刀剣乱舞】

君に触れたいだけなのに】 岩→さに+石【刀剣乱舞】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-05

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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