シンカ:エヴァンゲリオン予告編


シンカ:エヴァンゲリオン 予告編
@Tosikidrum
シンカ:エヴァンゲリオン予告編

12月4日、ドイツに所属する特務機関NERV(ネルフ)専門の病院、そこで一人の少女のとても元気な産声が聞こえた。その後、一人の看護婦が急いで待合室に入り、中で椅子に座りながら何かを心配そうに待っている黒いコートを着た死んだ魚のような眼をした男、式波 憎馬しきなみ ぞうまに声をかける。

:「憎馬様!!お生まれになられました!!かわいい女の子です!」

その一言を聞いた憎馬は、目は死んだままだが、安心したように息を吐き、すぐさま看護師の案内で、妻の惣流・キョウコ・ツェッペリンの部屋に入る。その時のキョウコは、きれいな白いタオルにやさしく包み込まれた生まれた娘を抱き、ベットに座っていた。そして、部屋の中に入った憎馬を見て、優しい顔をし、温かい声で話しかける。

キョウコ:「ゾウマ、見て、かわいいわよ。この小さな手、優しそうな寝顔、それに、目元なんてあなたにそっくり。」

そんなキョウコの気遣いと優しさに、憎馬は悲しく、罪深い感情に心が押しつぶされそうになり、二人から目をそらし、部屋の奥の窓に移動し、そこから外のの景色を眺め始める。そんな憎馬に対しても、キョウコは、すべて知っているから仕方ないような感じに、何一つ表情も口調も変えないまま憎馬に話しかけ続ける。

キョウコ:「ゾウマ、私ね、この子を産めて、本当に良かった…エヴァの実験失敗により、私はもうないものに等しかった…それをあなたが救ってくれた…前の夫さえ見捨てたこの私を…」

その言葉には、どこかしら涙ぐんだひとことにも聞こえた。それを感じた憎馬は、口を開き、震えた声で話し始める。

憎馬:「キョウコ、俺は…その前の旦那と同じように…君を捨てることになるかもしれない…」

その一言を、キョウコはすでに理解していた。だけど、すべての事情を知っているのかのように、彼女は表情を変えなかった。

キョウコ:「わかっているわ。あなたの気持ち、私もよくわかるわ。それに、あなたがこれからすることは、この子の未来を守ることにもつながるのだもの。」

キョウコ:「何よりあなたは、私を救ってくれた。精神を病んでいた私を、元通りに戻してくれた。私を再び人間にしてくれた。だから私を暇なくていい。だって、私はもう、あなたの一部でもあるのだから。」

その一言を聞いた憎馬は、彼女に振り向きはせず、こぶしを強く握り、涙を流した。

憎馬「だけど俺には…その子を抱き上げる資格なんてない…」

その一言に、キョウコは真剣な顔になり、憎馬に叱咤激励と似たような力強い言葉で話し出す。

キョウコ:「憎馬、忘れないで、誰もそんな風に泣かなくていい世界をめちゃくちゃにした奴らへの、無関係な人たちを犠牲にしても何事にもなかった風に生活している権力者たちへの復讐、それこそが、あなたがこれまで生きてきた目的でしょ?あと5年と、少しの月数、そうすればあなたの戦いも終わる。あなたの復讐とともに世界は救われて、この子の未来も守られるの。きっとエヴァが、あなたを勝利へと導くわ。」

キョウコ:「だからこの子を、惣流・アスカ・ラングレーを抱いてあげて。胸を張って、一人の…普通の父親として…」

その言葉に、憎馬は体をキョウコへ振り向き、キョウコから娘のアスカを授かり、抱き上げたのであった。
この時、病院の外では、アスカの誕生を祝福するかのように、いつもより太陽が輝いていた。

本編は、このサイトに今年中投稿します。
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シンカ:エヴァンゲリオン予告編

シンカ:エヴァンゲリオン予告編

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-04

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