郵便配達員が伏せ字だらけの新聞を届けてくれた。

 今鳴ったのが自転車のベルか、風鈴だったか分からない。

 僕は縁側で機械油の味がする煙草を吸っている。

 どうでもよくなってしまった。

 吐いた煙か、入道雲かも分からない。

 そのうちに、虫かごを下げた少年達が家の前を通りすぎる。

 かぶとむしなんていないのにな。

 この青い空はいつまでしらを切るつもりだろう。

 少年達の口ずさむ国歌が、夏の風を散り散りにした。

後ろめたい夏の詩です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-27

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