Beautiful−World

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ハンドルを握り何時もの様にしてお客さんを待っている。僕は片山孝介、今年で43歳になる何処にでもいる普通のおっさんで同い年の妻と中学生の息子と小学生の娘、そして雑種の愛犬ゴロウの家族を養う個人タクシーの運転手でもある。四年前に脱サラをしてこの燃費の良いとされる車を購入して日々、お客さんを乗せてアクセルを踏んでいる。大体のお客さんが見慣れた人たちであるが、まぁそれだけ、この街が小さいのだと思う。退屈な日常を送る中たまには不思議な事件の一つでも経験したいものだとアクビをして考えるが、実際その様な事件何て起きる訳がなく現実は当たり前の繰り返しで今日もまた近所のおばちゃんでもタクシーに乗ってくれないかなと、車をこの街で一番大きなスーパーの道に横に停車して助手席のドアに付いているミラーをチラチラと見ながらそう思っていた。
と、そのミラーにハットを被ったスーツを身に付けた若い男の姿が映った。僕は見たことがない男だなと目を細めていると、男は車の後ろに立ち止まりドアを勢いよく開けて僕はまだ振り向かないのに、大きな声で発した。
「前にある赤い車を追跡しろ!良いか?気付かれない様に尾行しろよ!」そう言ってハットを被った男は後ろの席に腰を下ろしてドアを閉めた
僕は一瞬、ドラマの撮影か何かかと疑った。まさかこんな言葉を繰り返す日々の景色の中でこんなセリフを言われると誰が思うだろうか?僕は高鳴る鼓動を抑えて小さい声で「分かりました」と返事をした。僕はタクシー運転手の役者になった気分であった。次のシーンに流れる様にして目の前にある赤い車はウィンカーを出して出発し始める。それに続いて僕もまた無言で踏み慣れたアクセルをゆっくりと右足で押し込んだ。
僕の後頭部の奥の方から興奮した息を抑える様にして静かに呼吸をする音が聞こえて来る。このハットを被った男、かなり緊張しているらしい視線をバックミラーに移すと歯を食いしばり手のひらを握りしめ脂汗を掻いている。車の振動を受けている所為なのかは分からないが時折、身体をガタガタと震わせている。
「おい!山道の方向に進んでいるぞ!スピードを上げろ!絶対に見失うなよ!」そう言うと腕を運転席まで伸ばして指を立て指図した。
「了解です」
 僕はまた小さい声で言う。
 赤い車は街を抜けて林が見えてきた山道へと加速して進んでいく。その速さに比例して僕の運転する車のメーターも数字を加速していく。どうやらその追跡の事柄に赤い車も気づいたらしい、それはそうだ。この山中を同じ速さで僕の車はケツを追っているのだ。おかしいと思う筈である。急激に目の前の赤い車の車輪の回転数が上がる。よくこんな狭くてコーナーの多い場所で勢いを出せるものだ。そう僕が考えていた時、後ろの座席で座っていたハットを被った男が叫んだ。
「ええいっ!このままでは逃げられてしまうではないか!」
 男はその言葉を言い終えた後にポケットから黒い拳銃を取り出した。僕は驚いて「何をするんですか!」と言ってしまった。
「逃がしてたまるか!」
 ハットを被った男は僕の質問には答えずに窓を降ろして銃口を目の前で走る赤い車に照準を定めて太鼓を弾いた様な音を鳴らして撃ちは鳴った。
「うわぁああ!」僕は恐怖でハンドルを切りながら叫んでしまう。
 パァアアアンン!
ゴム製のサッカーボールが叩き潰された様な破裂音が山道中に響き渡った。赤い車のタイヤがホイールと共に巻き込まれてクルクルと回転し、それにつられて赤い車の車体も鉄とアスファルトの摩擦で魔物の断末魔の様なうるさい声を上げて横すべりを起こした。そして硬い崖の岩へと体当たりをして息の根を止めた。赤い車のボンネットの付近から白い煙が怒っている様にしてモクモクと息吹をあげている。その光景を黙って僕が見ていると「おい!そこの方で車を止めろ!」ハッキリとした声で僕に命令するハットを被った男は僕が車を停止するとドアを開けて飛び出して行った。
「さぁ!車から降りたまえ!」ハットを被った男は拳銃を構えて赤い車へと近づいて行く。僕も興味が湧いてきてその状況を車内の中から見詰めていた。そうすると赤い車のドアがゆっくりと開いた。スラリとした長い脚を地面へと伸ばす。そうした後に細長い身体が背中を向け両手を上げて姿を現した。真っ黒なスーツを身に着けていた。
「黙ってこちらを振り替えろ!」ハットを被った男は鋭い声で言い放った。
 真っ黒なスーツ姿の男はゆっくりと回転してハットを被った男に正面を向けた。黒いサングラスをしており、ワックスで頭を固め、長い鼻と薄い唇、白い肌、それに付け加えて頬を上げて笑みを浮かべている。
 その姿を現した真っ黒なスーツを身に着けた男に向かってハットを被った男は言葉を発した。
「観念しろ!神無月康生!いや!本名は仲里俊彦だったかな?さぁ、地面に伏せるんだ!」
 この言葉を聞いたサングラスをかけた男は笑って言った。
「クックックッ、仲里俊彦だって?そいつは誰かな?俺の名前は神無月康生だぜ?人違いじゃないかな?」
 サングラスをかけた男はそう言うと両手を降ろしそうになる。その事を見てハットを被った男は「動くな!」と言い放ち銃口を向ける。
 その二人のやり取りを車内で聞いていた僕は辛子の粒が額に当てられた様にピリリと反応した。聞いた事がある名前だ。『仲里俊彦』。一体どこで…僕は腕を組んで考えた。すると記憶の蛇口を捻った様でその名前の人物を思い出した。
 ズキュウウウン!
 車内の外から銃声の音が聞こえてきた。見るとハットを被った男は胸から血を流してうずくまっている。
 「フハハハッ!まさか俺が銃の名手だとは分からなかったであろう!一瞬さえあれば、隙を見て貴様を打ち抜く事などくらい!たやすいわ!」
「一体どこに拳銃を仕込んでいたんだ…もはやこれまでか…」
 サングラスをかけた男はニヤニヤと笑いながらハットを被った男へと近づいて行く。とその時ある声が響き渡った。
「トシちゃん!」
 タクシーの運転手であった。シワがよったジャケットを揺らして両手を握りしめ言った。
 その中年の男を見てサングラスをかけた男はピタリと動くのを辞めた。
「誰だお前は?」照準をそのタクシーの運転手に合わせた。
 タクシーの運転手は手を胸に当てて叫んだ。
「僕だよ僕!片山孝介だよ!小学校の時、一緒のクラスだったろ」
 その言葉を聞いてサングラスをかけた男は拳銃を降ろした。そして細い声で言った。
「片山孝介?まさかコウちゃんなのか?」サングラスの男は何処か優しい声に変っていた。そうした反応を見てタクシーの運転手はまた口を動かした。
「そうだよ!トシちゃん!僕はコウちゃんだよ!」
 言葉を続ける。
「トシちゃん、状況がよく分かってないけど、さぁ早く僕の車に乗って!」
 そう言って短い脚を進めてサングラスをかけた男に近づく。
「お前?正気か?俺を逃がすって事はな…」
「そんなの知らないよ!良いから早く乗ってよ!」中年のタクシーの運転手はサングラスをかけた男に詰め寄りその腕を掴んだ。そして引っ張って車へと向かう。
 ハットを被った男はその光景を見て苦しそうな声で言う。
「バカか…お前、何をして…」
 その絞る声に気づいてタクシーの運転手は言った。「救急車は呼んだので、もう少しで到着すると思います、すいません、失礼します!」
 そう言い放った後、素早く車に乗り込んで空車のランプを消した。

 運転席には中年のタクシーの運転手が座り、助手席にはサングラスをかけた男が座っている。車は山道の青い葉が散らかせる光を浴びて目的地もなく発進していた。二人は少しの間は沈黙であったがハンドルを握っている運転手の方から声が出た。
「久しぶりだね、トシちゃん三十五年振りくらいだろ?」
 しかしその言葉を無視してサングラスをかけた男は言葉を返した。
「どうして俺を助けた?」
「どうしてって?」
 タクシーの運転手はあっけらかんとして答える。
「俺が撃ったあのハット帽の男は警官だぞ、あの様子から見て明らかに俺の方が悪人にしか見えないだろ!」
「まぁ、そうだけどさ」
「じゃあどうして!お前も共犯者になるんだぞ!」
 サングラスをかけた男の剣幕にタクシーの運転手は笑って答えた。
「覚えているかい?トシちゃん?僕は良く覚えているよ」
「あれは三十五年前の僕が小学二年生の時だった」

 当時、僕は身体弱く内向的で友達もいなくどちらかと言うと虐められていた。そんな時に僕は遠足のバスの帰りの途中で倒れた。バスはそのまま病院へと向かった。
「非常にまずい状況です!片山くんの肺が病気に汚染されています!このままだと後、数時間で死んでしまいます!」
 その医者はバスの中で待つ先生と生徒の前で言った。そして次にこう言った。「どの生徒でも良い!どなたかドナーを!ドナーに!片山くんに肺を一つ提供できる生徒はいないか!」
 当たり前だ、こんな事をいきなり言われてもどうしようもない。担任の先生も医者に「すいませんがこの様な事を急にいわれても…」
 しかし医者は言い返す「貴方は自分の生徒が死んでも良いんですか?君たちは片山くんのお友達じゃないんですか?確かにドナーが適正するかは検査をしないと分かりませんが、今まで同じ教室で授業や給食を食べてきた者同士ではないんですか?」
 医者の言葉に皆黙っている。いや、先生や生徒達からはその医者に向かってキチガイを見るかの様にして視線を送っていた。
「そうですか…残念です」
 医者はそう呟くとバスから降りた。
 と、その時であった。
「俺の肺取って良いよ」
 色の浅黒く鼻が低い少年がその降りた医者に向かって言った。
「おおお!本当かね!」
「うん」
「そうとならば、さっそく検査だ!」
 不幸中の幸いとはこの事だろう。僕は仲里俊彦の肺が適合したのだ。そうして僕は無事手術を終えて生きる続ける事が出来る様になったのだ。

「トシちゃんは僕が退院した後、すぐに転校しちゃったけど、本当に感謝しているんだよ。でもどうして僕に肺をあげたの?」
 トシちゃんと呼ばれたサングラスをかけた男は答えた。
「初めて出来た友達はコウちゃんだった。多分、あの時の俺はコウちゃんが居なくなった世界が我慢できなかったんだと思う。だから肺をあげたんだよ」
 サングラスをかけた男はそう言って薄らと微笑んだ。タクシーの運転手はその笑った表情を見て言った。
「恩返しとかそんなもんじゃないけどさ、トシちゃんには凄く感謝してるし、それに友達だからやっぱり助けたいとか思うんだ別に共犯者になってもいいよ」
「ふぅん」とサングラスをかけた男は息を吐くようにして言った。
こうした後、サングラスをかけた男はコウちゃんと呼ぶ中年の男に向かって質問した。
「お前は今なにしてるの?」
「見ての通りタクシーの運転手だよ、数年前に脱サラしてさ、嫁は杉山亜由美だよ」
「杉山亜由美って吹奏楽部だった子か?」
「そうだよ!それで今は中学生の息子と小学生の娘、愛犬のゴロウって言う家族も居るんだよ」
「お前にも家族が出来たのか…」
 サングラスをかけた男はそう言うとやはり薄らと笑う。その顔を見てタクシーの運転手は質問した。
「何かトシちゃん、昔と感じが違うね」
 その言葉にフフフッと笑ってサングラスをかけた男は言う。
「そりゃそうだ、全身整形したからね、皮膚、鼻、口、歯、耳、指のシモン、目の色、あと顔の骨も削って整形もしたかな」
「どうりで、僕よりもずっと若く見えるよ二十代後半くらいかな」
 タクシーの運転手はハンドルを軽く回しながら言った。
「最近は名前も変えたさ仲里俊彦から神無月康生ってね」
「まるでトシちゃんが死んだみたいだ」
 タクシーの運転手の一言にサングラスをかけた男は愉快そうに笑って言った。
「クックックッ、その通りだよ!仲里俊彦は死んだのさ!永遠にな!これからは神無月康生って言う赤の他人が存在するのだよ」
 今度はタクシーの運転手がサングラスをかけた男に質問をした。
「トシちゃんは今なにしてるの?」
 サングラスをかけた男はサングラスを指でヒョイッと上げて言った。
「この世界を美しくしているんだよ、しかしそれには犠牲が付き物なのだ。俺はこれまで数々の国々で世界を改善していく為に活動を行ってきたが中々上手くいかなくてね」
「へぇー、トシちゃん凄いね、どんな世界にしたいわけ?」
「皆が平等で戦争も争いもない平和な世界さ」
 そう言った時、サングラスの奥で緑色の淡く光る様にしてメラメラと燃え上がる眼力が見えた気がした。
 こうした後、タクシーの運転手はここでラジオを付けた。
『中継です!中継です!たったいま山道で警察官が撃たれました!撃った犯人は仲里俊彦と思われます!世界規模で行われているテロリストのリーダーで現在、各方面から捜査中でして…』
 ラジオの奥から切羽詰った女性のアナウンサーの声が聞こえて来る。と、ここで音声が変わる。
『あのタクシーの運転手は勇敢でした!撃たれた私を庇い自ら人質になったのです!』どうやらハットを被った警官が取材を受けているらしくこうした声で述べた。
 サングラスをかけた男はこのラジオを聞いて言った。
「おいおい、どうやら俺たち二人が共犯者じゃなくて俺がお前を人質にしている状況になっているぞ」
 タクシーの運転手は笑いながら「これは面白い」と言った。
 まだラジオは続く『私は夫の妻です!夫は気の弱い人ですから一人では逃げられないと思います!どうか助けてください!』また次の音声が受信される『共犯者じゃないかと言う奴もいるが片山はそんな度胸のある奴じゃない!どう考えても人質だ!』
 タクシーの運転手は笑って言う。
「酷いなぁ、いくら古い友達とはいえそんな言い方はないだろ」
 サングラスをかけた男は真剣な顔つきになりタクシーの運転手に向かって言った。
「おい!車の燃料がなくなってきているぞ!」
 しかしその言葉にタクシーの運転手は微笑んで「大丈夫だよそろそろ、ガソリンスタンドが見えてる来るから」
「何だと?」
 サングラスの男が言い終えた後、ガソリンスタンドの錆びた看板が見えてみた。そしてタクシーの運転手はその中へと駐車した。
「おい!何をしているんだ!通報されたら…」
「心配しないでいいから」
 そう言うとガソリンスタンド待合室の奥から眼鏡を掛けた腰の曲がった年配の老婆が近づいてきた。
「おやおや片山さん、今日もレギュラー満タンで良いのかね?」
「はい!宜しくお願いします!」
「そう言えばあんた、今、テロリストの人質だって?大変だねー、テレビでみたわ」
 タクシーの運転手は手を叩いて言う。
「そうなんですよ!まぁ、友達なんですけどね」
 車にガソリンを入れ終えたタクシーの運転手は老婆に手を振って出発した。
「何だ…おかしいぞ!普通は通報するだろ!」
 サングラスをかけた男はそう叫んだ。
「でも、僕の街の人は皆こんな感じの人が多いし…」
 そうした後、タクシーの運転手は定食屋に車を停めてサングラスの男を連れて中に入った。
「おじさん!豚カツを二人前!」
 そう注文をすると白いエプロンを腰に巻いた禿げたおじさんは言った。
「聞いたぞ、お前いまテロリストに人質にされているだって大変だな!今日は特別に大盛りで出してやるぞ!」
「やったー、ラッキーだな」
 出てきた豚カツを二人は一気にたいらげてお店を出てタクシーに乗り込んだ。
「絶対におかしい!この街の世界は狂っている!」
「そうかな、僕の住んでいる街はだいたいこんな感じだけど」
 サングラスをかけた男は言った。
「俺のいる世界じゃ、すぐにバラされるし裏切り何て日常茶飯事だぞ!どうして俺まで白い目で見られないんだ!」
「まぁ、いいじゃないか、お腹も膨れた事だし漁船を持っている友達の所に向かおう。そこから船で逃げるんだ」
 タクシーの運転手はさらに山道を進ましてアクセルを踏んだ。
 そして辺りは暗くなり海の香がする場所へと二人は立っていた。
「ありがとう、お前のお蔭で上手く逃げれそうだよ」
「それは良かったよ、あ!トシちゃん!これを君に!」
 タクシーの運転手は茶色い封筒を渡した。
「なんだよこれ」
「少しの額だよ、そんなに入っていないけど」
「悪いなそこまでして貰って」
「良いんだよトシちゃんは命の恩人だし友達だから」
「俺は良い友達を持ったよ」
「じゃあねトシちゃん…」
 タクシーの運転手は運転席に入り山道へと向かって進んでいくがその途中大きな爆発音と共に赤い煙をあげて爆発して炎上した。
「クックックッ、俺の存在を詳しく知っている奴はこの世界には必要ないんだよ。悪いな」
サングラスをかけた男は船に乗り込もうとすると、その時、眩しい光がサングラスの男を照らしだした。
 赤いランプも光っている。パトカーだ、間違いない警官が囲んでいた。

「お前が仲里俊彦だと言う事は知っているんだぞ!さっさと白状をしたらどうだ!」
 スーツを身に着けた数人の勇ましい刑事がサングラスの男の周りに立っている。サングラスの男は椅子に座ってへらへらと笑っている。
「なら証明してくださいよ!この俺がテロリストの仲里俊彦だと言う事を!俺は一般市民の神無月康生ですよ!写真と合わせるとシモンも皮膚の色も全てが一致しないじゃないですか?」
 刑事はうろたえて言う「ぐぬぬぬ」
「それに、あのタクシーの運転手は帰りの途中に運転操作を間違えて事故を起こしただけでしょ?俺はもう帰りますよ」
 そう言ってサングラスをかけた男は席を立ち扉を開けて出ようとした。
「待ってください!」
 見覚えのあるハットを被った男の警察が言った。
「何?」
 そうした後、ハットを被った男は言う。
「このサングラスをかけた男のジャケットに入っていた、茶色い封筒の中身を見てください」
 封筒からグニャグニャになった一万円札三枚と白い手紙が出てきた。
 刑事は広げて読んでみる。
『トシちゃんへ、トシちゃん僕は君に出会えて本当に良かった幼い頃、友達がいない僕と遊んでくれた事も感謝してるし何よりも君の肺を僕に提供した事も本当に感謝している。ありがとう。この肺でこれからもたくさんの空気を吸って生きて行くよ。片山孝介より』
 刑事はその手紙を読んでワナワナと震えだした。
「これで仲里俊彦かどうか証明ができるぞ!片山孝介は幼い頃に仲里俊彦から肺を提供して貰っている!鑑識にまわせ!片山孝介の肺のDNAと此処にいる神無月康生のDNAが一致するかどうかな!」
 その刑事の言葉を聞いてサングラスをかけた男は青ざめて言う。
「バカな!俺は拒否するぞ!いったい誰の権限があってそんな事を!」
「俺のクビをかけても良い!さぁ!その男を連れて行け!」
 コウちゃんの世界が正しいと言うのか?俺は決して認めないぞ…

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元々は一つの美しい世界を二人で見ていたのです。時が経つと変わっていくものなのでしょうか?

  • 小説
  • 短編
  • 冒険
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-17

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著作権法内での利用のみを許可します。

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