過去椿

過去椿

もう一度

白い天上、白い壁意識ははっきりしていない

寝心地の悪いベッドの横に誰かがいるのは分かる
顔は見えない。ただ、とても愛おしい

「ごめんな、ごめん」

なんで君が謝ってるの…?

顔は見えないけど君が泣いているのがわかる
手を差し伸べて拭ってあげたい

けど、私の身体は動いてくれないみたいだ

「 」

何か言った 私が

どんどん意識は遠くなり
自分の声は聞こえない


「ああ…約束だ、かならず… 」


なんて言ったの?
君のこえも聞こえなくなってきた


でもそこにいる私は頷いた

すごく幸せそうに

変化

ピピピピ…ピピピ…

「あ…」

(夢か…)

久しぶりに寝心地のいい夢を見た気がする
どんな夢を見たのかはあまり覚えていないけど

「ゆーいー?おきてるーー?」


1階からお母さんの声とパンの香り

「いまいく〜」

着なれた制服に腕を通し、軽い足取りでリビングに降りていった


ーーーーーーーーーー


「ちょっとゆい、また最近痩せたんじゃないの?」

「そお?」

いつもの癖で疑問符付きで返答をしたが、
ゆいにも多少自覚はあった

最近制服のスカートが緩い

「ちゃんと学校で食べてんの??ダイエットなんてまだ早いわよ。あんたチビなんだから。」

さらりと鋭い矢を放つお母さん
チビなのはお母さんからの遺伝だっていうのに

「食べてるって、チビママに言われたくないです〜」

そう言って残った牛乳を飲み干した



ーーーーーーーーーー

(そんなに痩せたかなぁ…)

髪を整えなが自分の顔をまじまじと眺める

確かに前に比べて少し痩せたきはするが
高2のゆいには心配というよりは少し嬉しいぐらいだった

痩せたんじゃなくて上に伸びた
そんな都合の良い解釈をして洗面所を後にした

過去椿

過去椿

町に伝わる難病「椿病」。その名の美しさとは裏腹に、頭に花が咲いたら死んでしまうという恐ろしい病。そんな病にかかった女の子のお話。 ※この作品は「小説家になろう」にも掲載しております

  • 小説
  • 掌編
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  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-09

CC BY-NC
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CC BY-NC
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