再開のマジックストーン

ルビーとエメラルドの幼少期の話です。
※独自設定あり

また、エメラルドドラゴンを「エメドラ」と略させていただきます。

その日、少女は袋を被って歩いていた。その足取りは重かった。
少女はある山を登っていき、洞窟に入った。その洞窟には1匹の巨大なドラゴンがいた。エメラルドドラゴンだった。少女は洞窟の陰に隠れて、なかなか出てこようとしなかった。エメラルドドラゴンは少女の気配に気づき、声をかけた。

エメドラ「エメラルドか?隠れてないで出てきなさい。」

少女は一瞬驚いたが、それでも陰から出てきて、先程のような重たい足取りでエメラルドドラゴンに近づいた。

エメドラ「今日はハロウィンじゃないぞ。その袋を取りなさい。」

エメラルド「…………。」

少女は黙って頭に被った袋を取った。少女の頭には宝石のような美しい角が生えていた。表情は今にも泣き出しそうで、額から血を流していた。

エメドラ「その傷はどうした? また誰かにやられたのか?」

エメラルド「……はい。おじい様。」

少女の名はエメラルド、エメラルドドラゴンの孫であった。エメラルドドラゴンはエメラルドを自分のそばに座らせると、傷を舐め始めた。

エメドラ「エメラルドや、何故このような目に遭っても人間と仲良くしようとする? あやつらはお前を虐めるんじゃぞ?」

エメラルド「おじい様、それでも私、お友達が欲しい。」

エメドラ「お前の父は確かに素晴らしい人間じゃった。しかし人間全てがお前の父のような人間だとは思わん。 あまり人間に会わないようにするんじゃぞ。お前の気持ちは分かるが、これもお前の為でもあるんじゃ。」

エメラルド「……………はい。」

エメラルドはドラゴンの血を引いて、周りの子どもと違かったため、いつも周りから白い目で見られ、蔑まれていた。
次の日、エメラルドは人気のない所で静かに過ごしていた。

エメラルド「どうして私には友達が出来ないの?私は何も酷いことしてないのに……」

すると茂みの向こうから子ども達が数人現れた。子ども達はエメラルドを見つけると石を拾いだし、エメラルドめがけて投げ始めた。

少年A「出たぞ竜人間だ!やれ!」

エメラルド「いっ!痛い!」

少年B「角なんて生やしやがって気持ちわりぃ!どっか行っちまえ!」

エメラルド「やめて!やめてよぅ!」

少年C「ドラゴンは大人しく人間にやられちまえ!」

その時、エメラルドの目の色が変わり、手足がドラゴンのようになると、子ども達にめがけて怒声を浴びせた。それを聞いた途端、子ども達は泣いて逃げ出してしまった。

エメラルド「いい加減にしてよ!私は何もやってないのに!!」

少年A「ひえ~~~!竜人間が怒ったぞ~~!!」

少年B「逃げろ!食べられちまう!」

少年C「えっ、まっ、待ってよぉ!」

子ども達が遠くに行くと、エメラルドの姿は元に戻った。それでもエメラルドの心には虚しさしかなかった。額を触ると膨れ上がっていた。とても痛かった。しかしそんな痛みより、エメラルドは悲しみの方が大きかった。エメラルドはとうとう泣き出してしまった。自分には一生友達が出来ないのか、そう思ってしまった。
その時、どこからか赤い髪をした少女がエメラルドに近づいてきた。手にはハンカチを持っていた。

???「ねぇ大丈夫?泣いてるの?ハンカチ貸すよ。」

エメラルド「?」

赤髪の少女はとても優しく、初対面のエメラルドに対して優しい態度をとった。ハンカチを水に漬けて、エメラルドの腫れた部分を冷やすなどした。

エメラルド「ありがとう。私はエメラルド。あなたは?」

???「ルビーだよ。 よろしくねエメラルドちゃん。」

エメラルド「………ルビーは私のこと怖くないの?」

ルビー「え?どうして?」

エメラルド「だって私、角生えてるよ。それに尻尾だって。 みんな怖いって言うよ?」

ルビー「私はそうは思わないな。だってエメラルドちゃんの角宝石みたいにキレイだし、尻尾だってなんかカッコイイなって思うよ。」

エメラルド「そうなの? ありがとう。」

聞いた途端、エメラルドは自然と涙を零した。この日、ルビーとエメラルドは友達になった。
次の日から、ルビーとエメラルドは毎日一緒に遊んだ。花を摘んだりままごとをしたり、時にはエメラルドドラゴンの背中に乗って空を飛んだこともあった。

ルビー「うわ~~~!すご~~い!」

エメドラ「ほっほっほ。2人とも、しっかり掴まっとるんじゃぞ。」

エメラルド「おじい様速ーい!」

エメドラ(こんなに笑ってるエメラルドを見たのは久しぶりじゃ。 本当に良い友を持ったな。)

しかし、この生活は長くは続かなかった。
ある日、エメラルドがいつものように待っていると、ルビーが歩いてきた。しかしどこか気分が沈んでいるようだった。

エメラルド「ルビー!今日は遅かったね! 今日は何して……」

ルビー「ごめんエメちゃん。もうエメちゃんと遊べないの。」

エメラルド「え………?何で? 私のことが嫌いになったの?」

ルビー「ううん。 実は私、お引越しするの。遠いところに。」

エメラルド「え………?」

ルビー「だからもうエメちゃんと遊べないの。今日はさよならしようと思って……」

ルビーはエメラルドを見た。エメラルドは泣いていた。親友と遊べない。これから自分はどうしていけばいいのか。

エメラルド「ルビーともう会えなくなるなんてヤダよ~……」

ルビー「え、えっと…… そうだ!泣かないでエメちゃん。これあげる。」

ルビーはそう言うと自分の持っていたハート型のアクセサリーをエメラルドに渡した。

エメラルド「? 何これ……?」

ルビー「それを私だと思って持ってて。 これなら遠くまで行ってもずっと友達だよ。またどこかで会おうね。」

見るとルビーも泣いていた。エメラルドはアクセサリーを握り締めたまま泣いた。こうしてルビーは引越し、2人は離れ離れになった。それでも、2人の心は通じていた。


―それから十数年後、制服に身を包んだ赤髪の少女、ルビーは魔法学園ジュエルズの校門を目の前にしていた。

ルビー「ここがジュエルズかー。 よし!今日からここで勉強するんだ!」

ルビーは大股で校門をくぐった。そして教室に着くと、あっという間にルビーはクラスに馴染み、友達もできた。友達はルビーと同じラクロス部に入るそうだ。

女子生徒「そういえばルビーちゃん聞いた?ウチのクラスって、推薦入学生が入ってくるんだって。」

ルビー「そうなの?どんな人かな?」

女子生徒「何しろ推薦入試の成績は1番だったっていう噂だよ。まぁきっと、頭良すぎて地味な感じだと思うんだけど。」

ルビー「そうかな?」

その時、教室のドアが開いて生徒が入ってきた。長身で細めのボディに宝石のような歯のハルベルトを持った女子生徒だった。女子生徒の頭には宝石のような角が生え、尾が生えていた。その姿にルビーは見覚えがあった。

女子生徒「そうそう。確かその推薦入学生の名前は[エメラルド]だったっけ?」

ルビー「え……?もしかして……」

女子生徒の名前と、彼女が身につけていたハート型のアクセサリーを見て、ルビーは確信した。そして女子生徒に近づくと、思い切って声をかけた。

ルビー「もしかして、あなたエメちゃん? 覚えてる?私、ルビーだよ?」

女子生徒は一瞬考えたが、ルビーを見て驚いたような表情になった。彼女はエメラルドだった。十数年経って再び親友同士再開したのだ。

エメラルド「ル、ルビー!?」

ルビー「やっぱり! 久しぶりだね!エメちゃん!」

END

再開のマジックストーン

ルビー欲しい(無料ガチャ残り1回と超獣神祭8回分で出て欲しい)

再開のマジックストーン

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-28

Copyrighted
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