特殊捜査課能力班

特殊捜査課能力班

File No.1

つまらない。
交通課?つまらないわ。
毎日変わらない同僚の顔、幾度となく見る怒る上司の顔。
飽き飽きだ。
私はこんな所で平凡な暮らしをしたいのではなかった。私は、犯人を捕まえるためにここの警察になったというのに交通課などという課に配属されてやや2年。
つまらない、変わり映えしない毎日ほどつまらないことは無い。
そんな風に思っていたある日、上司に呼び出され異動を命じられた。
特殊捜査課能力班(とくしゅそうさかのうりょくはん)だ。

File No.2

カツンカツンと履いているヒールの音がやけに響く。私の前にあるのは長い廊下と暗い闇。
本当にここは先程と同じ警察署なのかと疑うくらいだ。
私がここにいるのは上司から異動を、命じられ
その異動を命じられた課がここの旧棟の一室にあると言われたからなのだけれど・・・。
「本当にあるの?」

自分の口から疑いの台詞が出る。
5分くらい歩き続けているが明かりの灯った部屋なんて一切出てきていない。
ホコリのかぶった書類や、きっと誰かが貰ったであろう賞状などが散乱していた。
私は渡された地図通り歩みを進める。
すると一室だけ扉が綺麗な場所があった。きっとここなのだろうと扉を開ける。
すると、そこには8名分のデスク、ソファに机ホワイトボードが置いてある部屋だった。

そこには5名の男性がいた

真ん中のデスクで寝ていたり
トランプをしている3人と、隣の部屋で書類を、まとめている男性もいた。

「あの・・・。」
そう発すると、書類をまとめていた男性がこちらを向き私の上司から話は聞いていると言われ私のデスクに案内された。

「俺は紅井火織(あかいかおる)よろしくな。一応ここでは副班長してるんだよ。何でも聞いてくれてかまわないからね。」

あかいかおるさん・・・。
一言で表すなら優男ってところか。
それ以外とくに目立つ部分はなし・・・か。

「課長は今どっか行ってていないけど、来たら紹介するね、班長!新人さん、来ましたよ!」

彼が呼ぶ方には寝ている男性。
「ふぁい・・・」
あくびをして寝ぼけ眼で返事をする。紅井(あかい)さんから、挨拶と言われやっと、挨拶をする

「んん・・・俺は、蒼野トキ(あおのとき)。よろしくぅ・・・」

と、言いそのまま寝てしまった。
紅井(あかい)さんは、あはは、と笑った。

「い、一応班長だし、凄い人なんだけどね・・・」

なんなんだ、ここは。

File No.3

紅井(あかい)さんは、ソファがある所に案内された
「こっちの3人もメンバーなんだ。」

「僕、黄宮飛人(こうみやひゅうと)、変わった名前でしょう?」

こうみやひゅうと、確かに変わった名前ね。
童顔で、幼い顔立ちね。私より若々しい気がするわ
すると横にいる男がはいはいはーい!と手を挙げて来た、そちらの方に目を向けると自己紹介を始める

「俺、草葉翠(くさばみどり)!よろしくっ!」
くさばみどり?どこかで聞いた名前だけど・・・
「次期草葉(くさば)家当主、だよ。」
と、紅井(あかい)さんが、教えてくれる

そうだ、草葉(くさば)家。
陰陽術って、修行を積めば誰でも扱えるものだけど草葉(くさば)家は元々陰陽術を操るのに優れていてそこの鍛錬を受ければ陰陽術をマスターしたのと同じくらいになると言われている。
そこの次期当主がこんな所にいていいのか・・・

そう思ってるとはいざ知らず、最後の1人の紹介に入る
藤矢剛(ふじやつよし)、よろしく。」

ふじやつよし、クールな人だ。
なんだか、クセのある人達だな。

「そろそろ、名前聞かせてもらえる?」
紅井(あかい)さんは、そう言って笑った、あぁ、そういえば自己紹介をしていなかったなと、思う

「私は白坂氷織(しらさかこおり)だ。」

白坂氷織(しらさかこおり)ちゃんね」
と、名簿らしきものに私の名を書く
書き終わるとあれ?と、声を発した

「もう一人来るはずなんだけど・・・。」

するとその時勢いよく扉が開き
「すっ、すみませんっ!桃崎幸(ももざきさち)ですっ。」

と、自己紹介と、同時に入ってくる女性がいた。

・・・また、クセのある人っぽいな。

File No.4

紅井(あかい)さんは、桃崎幸(ももざきさち)ちゃんね。と復唱しながら、名簿らしきものに名を書く
そして、もう1度、自己紹介を、する。

桃崎(ももざき)さんが、あの・・・と私に声をかけてくる

「なに?」

「あっあの、白坂氷織(しらさかこおり)さんですよね?新棟の交通課で勤務してた!」

「そうだけど・・・」

やっぱり!と、目をキラキラさせながら女王だっ!と

女王、ああ、そういえば私のことそんな風に呼ぶ人も居たっけ。
正式名称は、絶対零度の氷の女王。
私が、感情を顔に出さないのと、私の名をかけたのだろう。いつしかそんな異名がついた。

「私、ずっと会いたかったんです!」

「そう。」

こんな、好奇の目で見られるのも慣れっこだ。この2年間ずっとそんな目で見られていた。

「友達になりたいと思って!」

私は耳を疑った、友達に・・・なる?
桃崎(ももざき)さんは、そう言ったのか・・・私と友人になると。

桃崎(ももざき)さんが、そう言ってからすぐに紅井(あかい)さんが
はい、ストーップ。と、言った

「お話もいいけど、ここ職場だからね?そろそろ、課長達も来るしあんまりお話してると怒られちゃうよ?」

と、人差し指を、唇に当てシーッとジェスチャーした。シンと静まり返った部屋にキィと扉の、金具が軋む音が聞こえる。

そこにいたのは、同い年くらいの男女だった。
男性は、紅井(あかい)さんと話をして、女性は男性の服の裾をキュッと握っている

はっとした顔でこちらを見た紅井(あかい)さんは、2人を私と桃崎(ももざき)さんの前に押し出し挨拶するように促した。

「俺は影谷威吹(かげたにいぶき)、ここの課の課長してるよ。和泉(いずみ)とは双子なんだ。兄の方って覚えてもらえれば良いかな」

影谷和泉(かげたにいずみ)・・・同じく課長。妹の方」

「よろしく。」

「よろしくお、お願いします!」

そこで、紅井(あかい)さんは、一通り挨拶は済んだね。と言い私たち2人を自分のデスクに座らせた。

そこで桃崎(ももざき)さんが気付いた
「デスク1つ足りなくないですか?課長さんの分・・・」

そう言うと影谷和泉(かげたにいずみ)が大丈夫。
と言った。

「私の席は・・・ここ。」
ちょこん、と座ったのは自分の兄の膝の上だった。

多分この時桃崎(ももざき)さんと私の心の声は一致したに違いない

───────はい?

変な課に来てしまったのかも知れないと嘆くも遅い白坂氷織(しらさかこおり)だった。

File No.5

影谷威吹(かげたにいぶき)さんが、妹を膝に乗せたまま話す。
「君達2人がなぜ、ここに来たか分かるかい?」

私たちは顔を見合わせ首を横に振る
桃崎(ももざき)さんとは、顔も見たことがないし名前も聞いていなかった。
なんら共通点もなさそうだ。

「能力・・・」
ボソッと影谷和泉(かげたにいずみ)さんが、言う。
あぁ、そういう事か。
能力班だもの、私たちが能力を持ってるって話だろう、私は元々能力のことは知っていた。
もちろん自分が使えることも把握済みだ。
だが、桃崎(ももざき)さんは見たところまだわからない様子だ。ただ、わかっていないのか・・・、能力のことを知らないのか・・・あるいは・・・持ってることすら分からないのか・・・。

「そう、君たちは能力者だ。そこで、珍しい能力を持つものを上が推薦した。」

「まずは・・・白坂氷織(しらさかこおり)。水と氷の能力の持ち主。個々の能力は珍しくないが、この能力が同時に存在しているのが珍しいため。だって、兄様(にいさま)

影谷威吹(かげたにいぶき)さんは、ありがとうと微笑みそしてまた、きりっとした表情になる
「次は、桃崎幸(ももざきさち)さんなんだけど、書類だけ見ると凄い能力としか書いてないんだよなぁ・・・」

「上が適当・・・」

凄い能力、なにそれ。適当も、適当大適当よ。
凄い能力なんてたくさんあるわよ。

「ま、そのうちわかるだろ」

おいおい上司、そんなんでいいのか
すると課長二人ともスクリと立ち上がり、草葉翠(くさばみどり)さん、藤矢剛(ふじやつよし)さん、黄宮飛人(こうみやひゅうと)さんに頼むぞと言い

「おぉい!蒼野トキ(あおのとき)!行くぞ。」

「はぁい」

と、班長を、連れていってしまった。
「な、何だったんでしょう?」

「さぁ?」

すると紅井(あかい)さんが来て、顔合わせ出来てよかった!と笑った。その時横から笑い声が聞こえた。
あの3人だ。

彼らはもう、トランプをし始めている。
紅井(あかい)さんは、ちょっと注意してくるね、と言いそちらへ向かった。

「おい、お前達仕事しろ。」
紅井(あかい)さんがそう言うと藤矢(ふじや)さんが言う。

「でもよぉ、仕事ねぇじゃん?」

「あるよ!書類整理!」
すると次は黄宮(こうみや)さんが言う

「えー、体力使うと面倒ですし・・・」

「俺はずっとひとりでしてたんだよ!」

最後は草葉(くさば)さんが
「書類整理って、結局1人でもできるじゃん?」

そう言うと、バンッと音がしたそのほうを見ると紅井(あかい)さんが、机の上に足を置いていた。

「いい加減にしろよ・・・。」

声でわかった、あっこれ怒ってる。
数歩横でアワアワとしている桃崎(ももざき)さん。

3人はヤバイと言う顔をしている。
紅井(あかい)さんの顔をのぞき込むと、目の奥で炎が燃えていた。
すると、黄宮(こうみや)さんが言う。

「こうなると、紅井(あかい)さんは止められない。能力が発動するまでこれは収まらないな・・・。」

「はっ!?」

「あと、5秒後紅井(あかい)さんの能力発動する防御体制とりなよ。」

3人は草葉(くさば)さんが壁を作っている。あぁ、そりゃ鉄壁の防御だわ。
私はどうする・・・。
取り敢えず時間が無い、水で膜を貼るか。
そう思い、厚めの水の膜を貼った。
あと二秒。

桃崎(ももざき)さんっ!!!!」
私は気づいた、桃崎(ももざき)さんは何の抵抗手段も持ってない。私が手を伸ばそうとしたその時

能力が発動された・・・。

File No.6

轟々(ごうごう)と、燃える炎。
その中に1人立ち尽くす彼女。
彼女は、腕で顔を守るようにしている。

桃崎(ももざき)・・・さん?」

彼女の周りには炎はなかった、ただのタイル張りの床があるだけだ。

彼女は、ドスンと尻餅をつく、そこにも炎が燃えていたが、彼女が尻餅をつく瞬間風が吹いた様に消えたのだ。

「風使い?でも、あの消え方・・・」

その時暴走している紅井(あかい)さんが桃崎(ももざき)さんに近づく
桃崎(ももざき)さんは、顔を横にフルフルと振りやめて・・・と言っている

暴走している紅井(あかい)さんには当然そんな言葉が聞こえるはずもなかった。
ちょうど彼女の30cm圏内に入った時
「来ないでっ!!!」と叫ぶ声と共に周りの炎まで消えてしまったのだ。
紅井(あかい)さんも、元の状態に戻った。

「あれ?・・・またか。」

どうやら、記憶はないらしいが、大体予想はついたらしい。
それより彼女だ。何なのだ、さっきの異能は・・・。

まさか・・・「異能潰し(アンチ・サイ)」?

File No.7

桃崎(ももざき)さんは、あたりをキョロキョロと見回し何がなんだかわかっていない様子だ。

傍で見ていた3人もぽかんと口を開けて彼女の方を見つめている。

「あのっ、えっと・・・」
何かを発しようと桃崎(ももざき)さんが口を開けた瞬間
バタン!と扉が大きな音を立てて開いた

皆がそちらの方へ振り向くと先ほど出て行った班長と、課長の兄の方だった。

課長は、パチパチと手を叩き君の能力はやはり凄いなぁ・・・!と関心している。
班長は、先ほどとは比べ物にならないくらい驚いた顔で見ている。

班長・・・もとい、蒼野(あおの)さんは驚いたな・・・とつぶやき手を口に当てている

「班長!課長!一体どういうコトですか!」

と、紅井(あかい)さんが少し怒り気味で聞く。

「まぁ、そう急かすな。今から彼に話させる」

蒼野(あおの)さんを指さす。
私はなぜだろうか?と思いながら見ているの黄宮(こうみや)くんが、「蒼野(あおの)さんは、ほとんどの能力を知っているからね、歩く異能図書館だよ。」

「彼女の能力は、異能潰し(アンチ・サイ)です。」

私と桃崎(ももざき)さんは顔を見合わせ首をかしげる

異能潰し(アンチ・サイ)とは、自身が触れた能力や自身に危害を加える能力、能力で発生させたものを消す・・・さっきなら炎だね。そういう能力だよ。異能を学ぶ学校の教科書にこの能力が、書いていないのはこの能力は、本当に稀なんだ。1億人に1人の能力だよ。でも、昔の本には載ってあるから、その本を読んだことある人なら異能潰し(アンチ・サイ)のことはわかるかな。」

課長は説明ありがとうと言って話し出す

「まぁ、そういうわけだ。」

「ですが!なぜ我々に話して下さらないんですか」
紅井(あかい)さんがもっともな意見を言う
それなら、驚きも協力もできただろうに

「言って信じたか?この能力を?1億人に1人って・・・都市伝説レベルだぞ?」

「まぁ、信じないでしょうね」
黄宮(こうみや)くんが腕を組みため息をつき言った。

「ともかく、彼女達がいれば百人力だ。よろしく頼むぞ。」

そう言って課長は出ていってしまった。
なんなんだ
あの人。

File No.8

異能潰し(アンチ・サイ)・・・、桃崎(ももざき)さんが・・・?
そう思っていると、紅井(あかい)さんが草葉(くさば)さんのこめかみをグリグリする

「お前達も、言えよ!俺は班長だぞぉ・・・!?」

痛い!痛いよ!火織くん!と、紅井(あかい)さんの下の名を呼ぶ草葉(くさば)さん。
それを見てわらっているあとの2人。

「笑ってるけど、お前らも後でするからな」

真顔で紅井(あかい)さんがそういうと真っ青な顔で後ずさる藤矢(ふじや)さんと、黄宮(こうみや)さん。

「氷織ちゃん、その2人、能力で押さえててくれない?」

私はコクリと頷き、2人に近づき手をその2人の床の方に向ける
力を込めると、2人の足は床から徐々に凍って行った
「これでいいですか?」

紅井(あかい)さんは、ありがとう。と笑いまたグリグリし始める。
私は、ソファに座るととなりに桃崎(ももざき)さんが来た。
桃崎(ももざき)さんは最初はもじもじとしていたが、キッとした顔でこちらを向く
私が首を傾げるとあの・・・と声をかけられる

「能力・・・どうやったら操れますか?」

File No.9

やはり、桃崎(ももざき)さんは自分で自分の能力を操れないのか・・・。
「操りたいの?」

桃崎(ももざき)さんは話し始めた。
「私、この能力持ってること知ってました。でもっ、能力の事なんて全然わからくて、でも、この能力は攻撃タイプの能力じゃはいから人を傷つけないって、幼い頃は思ってたんです。けど、高校生の頃能力者が銀行を襲って・・・、その時その銀行に私と友達がいて、能力者は私を標的にして能力を放ってきたんですけど、友達が庇ってくれて・・・、私は能力で無傷なのにっ・・・その頃の私はこんな能力要らないって思ってたんです。だって、友達を、守れないんです・・・無効化しても私自身じゃ意味無いんです!相手や、仲間にその効果を分け与えるみたいな・・・」

ごちゃごちゃした話し方だが、言いたい事はわかった、この能力を人のために使いたいってことね?
そう言うと、はい。と頷いた

「多分、能力の課だからあると思う。」

「え」

私は藤矢(ふじや)さんをグリグリしている紅井(あかい)さんに聞く
魔具(マグ)、ありますよね。」

「あるけど・・・。どうして?」

私は桃崎(ももざき)さんが言っていたことをより簡潔にまとめて話した
紅井(あかい)さんはそういうことならと、ある部屋をゆび指した
そこは、資料室だった。

「えっと、この本を引くと・・・」

そう言って表紙が赤の本を引くとゴゴゴと音が鳴り同時に隠し扉が出てきた。
ほんとにここどうなってんだよ。

「入るよ。」
桃崎(ももざき)さんはコクリと頷く。
キィと扉の金具が錆びているのかそんな音がした。
部屋に入ると共にバッと部屋中の電気が点く。
そこには武器庫かと思うくらい拳銃や剣などもあった。オドオドした様子で周りを見渡す桃崎(ももざき)さん
銃を2丁太もものホルターに入れもう一丁を胸ポケットに入れてから、私は手に取った銃を桃崎(ももざき)さんに、渡す。渡された本人は訳が分からない様子だけど。

「それは、魔具(マグ)って言って、能力を安定させるような物なんだけど・・・。そうね・・・打ってみて」

「えっ?これをですか?」

当たり前よと、言うとブンブンと、頭を横に振る桃崎(ももざき)さん
無理ですぅ!!と情けない声を、出す

「良いから、早く!仲間の役に立ちたいのでしょう!?」

そう言うと、桃崎(ももざき)さんは決心したような顔で銃よ引き金を引く。すると、バシュッと音が鳴ると白い空気が私の体に当たる。痛くはない

「い、痛くないですかっ・・・」

「大丈夫、見てて。」

私は手から氷を創り出そうと掌を広げた
ダイヤの形を作ろうとして意識を集中させ、真ん中まで作られた時、シュンと消えてしまった。

「この魔具(マグ)はこうやって、相手に向かって打つことで効力を相手に付けることができるの、実際、あなたの能力に邪魔されて能力が半分発動しなかったでしょ。だいたい、魔具(マグ)のほとんどは能力を手放す為の物なんだけどね。」

というかと、私は付け足す
魔具(マグ)の、存在くらい小学校で習うはずよ。」

「えへへ、成績優秀じゃないのバレちゃいますね」
とぎこちなく笑う
私も、それにつられてクスリと笑った

「わからないことがあったら聞いて、わかる範囲で答えるわ」

桃崎(ももざき)さんはホントですか!と目を輝かせる。
今度は屈託ない無邪気な笑顔で笑って。

すると、後ろから声が聞こえた
振り返るとさっき隣の部屋にいた4人が立っていた

紅井(あかい)さんは依頼だよ。と言って手紙を見せる。
私達は、魔具(マグ)倉庫を後にした。

File No.10

「依頼?」

私が、紅井(あかい)さんに聞くと、ここの課の説明をし始めた。
「ここの課は、異能力が使われた、もしくは使われたかもしれない事件を取り扱っている。普通の刑事課じゃ取り扱えないもの、未解決の事件とかもそうだね。」

「そうですか、ではどのようにして移動するんですか?」

車か、徒歩、もしかしたら電車かもしれない。
と考えを巡らせていたが、斜め上の返答が帰ってきた。

「課長だよ。」

課長…?影谷(かげたに)さん達?私は混乱した。
人で移動とはどういう事なのか、隣にいる桃崎(ももざき)さんの顔を見ると彼女も訳がわかっていない様子だった。

「課長は、瞬間移動(テレポート)の能力者なんだ。」

瞬間移動(テレポート)ですか…」

初めて聞いたかもしれない。瞬間移動(テレポート)の能力者。
こんな職場で出会うなんて。

「あ、あの…」
桃崎(ももざき)さんがおずおずと手を挙げ発言する

「私はどうすれば?」

そうだ、桃崎(ももざき)さんは、異能潰し(アンチ・サイ)瞬間移動(テレポート)も通用するかどうかわからない。

すると、威吹(いぶき)さんが大丈夫と言った。
威吹(いぶき)さんが和泉(いずみ)さんを差し出す。

すると、和泉(いずみ)さんは手から丸い球体を出してそれを伸ばし薄い膜にした。それを押し出し桃崎(ももざき)さんに当てる。だが、当然の如く割れてしまう。

「はぁ…桃崎(ももざき)さん。怖がっちゃダメ。」

「い、和泉(いずみ)さん…。」

「別に…これは、あなたを攻撃するものじゃない。大丈夫よ。安心して。」

そう、和泉(いずみ)さんが言うと心なしか桃崎(ももざき)さんの顔が和らいだ気がした。
和泉(いずみ)さんは、もう一度膜を押し出し桃崎(ももざき)さんに当てる。今度は成功して、膜の中に桃崎(ももざき)さんが入っている。

「触っちゃダメだよ…消えちゃうから…」

「は、はいっ!」

「これで、このまま飛ばすって訳さ」
威吹(いぶき)さんが、そう説明した。

「それじゃ、いくよ。みんな俺に触れてて。」
威吹(いぶき)さんに手のひらを当てる。威吹(いぶき)さんは、先程の膜に手を触れて目を瞑った。

その瞬間、視界がブラックアウトした

File No.11

瞬きをして、次に目を開いた時にはもう現場についていた。

そして、課長の2人ももう居なかった。

「ここ、どこですか…?」
桃崎(ももざき)さんはクラクラしているであろう頭を擦りながら聞いてきた。

ここは…

「ウィズダム学園」

数年前、話題になっていたのを思い出した
ウィズダム学園…、ここ数年でできた学園にも関わらず入学希望者があとを絶えない学園。
幼稚舎から大学まであり、エスカレーター式で上がれる所謂、お坊ちゃま、お嬢様学校。
ただ一つここの学園に入るための条件があって
それが、異能力を持っている事だという。

「の、どこでしょう?」

「幼稚舎だね。」
草葉(くさば)くんが言う。
知っているのかと聞くと、親の都合で来たことがあるらしい。

「とりあえず中はいるか。」
藤矢(ふじや)さんが、頭の後ろで手を組みながら歩く。
それを見てみんなも歩き出した。




教員室を見つけ入ると女性の保育士が1人居た。

「あなたが、通報者ですか?」
紅井(あかい)さんが、尋ねる。

女性の方はコクリと頷いた。
私たちは、椅子を用意されそこに促され座って話を聞くことにした。


「幼稚舎で、火災が起きたんです。勿論、火災報知器はしっかり作動しました。けが人も出ませんでした。でも、そこではなく…」

「発火原因ですか?」

また、保育士の方は頷いた

「警察の方に発火場所を聞くと教室だって言うんです。時間は13時。お昼寝をしている時間なんです。」

「それで事件だと。」

保育士の方ははい。と一言だけ言った。
不審者かもしれないと、不安がっていた女性の保育士は、嘘をついているようには見えなかった。
そして、保育士の方は、ここを調べても良いので解決させて下さいとの事だった。

「調べていいって言ってもね」

「火災場所どこなんでしょう?」

「とりあえず向こう行ってみるか」

「手分けしよう」

みんな、思い思い動き始めた。
私も動いていた、桃崎(ももざき)さんも付いてきていたが。

辺りを見渡していると、3人の男の子がこちらに近づいてきた。
「おばさん、何してんの?」

「けーさつだろ?」

「なんか事件?」


うるさい子達だな。仕事してるっていうのに。

「そうだよ。君たちは?」

「ここの生徒だよ。」

わかってるわ、そんなこと。何してるか聞いてんだよクソガキ…。
すると、隣に桃崎(ももざき)さんが座る。

「なにしてたの?」

子供は、警察が来てるから見に来たと答えた。

「ねぇねぇ、君たちも能力者なんでしょ?おねーさんなんの能力か知りたいなぁ?」

と、話し始めた。
子供達はえぇー?と迷っている様子だった。
桃崎(ももざき)さんはお願いっ!と頼むとすんなり教えてくれた。

一人の子は
水流操作(アクアキネシス)

もう1人は
念動力(テレキネシス)

もう1人は
風力使い(エアロキネシス)

だった。

桃崎(ももざき)さんは、ありがとー。とお礼を言った。
そして、あともう一つ!と言い聞いた。

「ここに、発火能力(パイロキネシス)の子っているかな?」

File No.12

「いないよ。」

子供の答えはそうだった。
その後桃崎(ももざき)さんはお礼を言い子供達とわかれた。

発火能力(パイロキネシス)を持つ人はいないみたいですね。」

「じゃあ、やはり外部の人間の仕業?」

でも無理があるだろう。
ここは幼稚舎といえどお金持ちが通う学校だ。
セキュリティはしっかりしてるはずだし
外部から見知らぬ人が入ればガードマンが動くはずだ。
もし、瞬間移動(テレポート)できるなら話は別だが、異能力だって全員持ってるわけじゃあるまいし。

「うーん…」

「難しいですか?」
桃崎(ももざき)さんは首を傾げて問いかける
私は、まあねと返してまた考えなおす

私達はいつの間にか幼稚舎を1周していた

そこで紅井(あかい)さんと会い、この事件は1度署に持ち帰ることになったらしい。


私達は課長に連絡してまた署に戻った

特殊捜査課能力班

特殊捜査課能力班

能力を持つ若者たちが、警察で役に立つかもしれない話

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • サスペンス
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-05-23

CC BY
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