街と私

ある女性の、仕事帰りの時間のお話。
なんでもない日常が、鮮明であることの大切さを思い出したい

夜の大通りはいつもと同じように賑わう。
目が痛いほど光る看板や店のライト、眩しさを分散させるかのように存在するたくさんの人。
私はこの通りに面している、とある高層ビルに出勤し、1日の中でも一際賑わっているこの時間に帰路につくことにしている。
騒がしく、よそ見をする余裕もないほどであるはずなのに、不思議なことにこの時間だけは、気付いたら考え事をしている。
それでも今日あった仕事のことは曖昧にしか思い出せないし、家に帰ってからのこと、人間関係のことを考えているわけでもない。
こんな時間に帰っているのだから、家に帰っても誰かのために動いてやらなければいけないということもない。
悪い職場についたというわけでも、今の自分の恋愛に対する思いに不満を抱いているわけでも、ない。
私は、一体毎日なにを考えているのだろう。
今日は不思議と、自分の頭の中が鮮明である。
そうか、なにも不自由していないのだから、今の生活のついて、改まって考え込むことなどない。
答えらしい答えを思いつくが、なんだか違う気がした。
まだ何かが足りない。お金でもない、権力でもないーー。
しばらく自問自答しているうちに、もう賑わった大通りは抜けてしまっていて、人気はあまりなかった。
先ほどとは対照的に妙に静かで、落ち着かない。
あれほど騒がしかったあの街は、もうここにはない。
・・・こういうことなのかもしれない。
なにかがストンと落ちてくる感覚を味わった。
今までも、このいつもと変わらない道を歩いてきて、同じように、考え事ばかりして歩いてきたはずなのに、このような感覚は初めてだった。静かな道を進んでいくと同時に、頭の中が徐々に無へと変わっていくのが分かった。
あと少しで、今日の私と別れを告げる。

街と私

深く考えずに書いたものですので、文章にまとまりがないような気がします。申し訳ありません。
ジャンルもなんなのでしょう…エッセイでしょうか。

なにに気がついたのでしょうか。
私には私の、皆様には皆様の解釈が存在する作品だと思っています。

また、誤字脱字等ありましたら教えていただけると嬉しいです。

【追記1】
2016.02.20 文章を多少変更しました。

街と私

なんでもない日常を抜けた先にあるもの。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-18

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