水溜まり

((T_T))な感じです。

授業を昼から抜け、訃報に駆け出した。


授業を昼から抜け、訃報に駆け出した。
高三の春。
中学時代の同級生だった、あの娘が死んだ。
とりとめのない、怖さの勢いで、飛び乗った電車。
息を切らしている私に、電車の振動が
背中を擦り胸を揺さぶる“泣け” と ──。
雨の日には、傘が水溜まりを造る。
私の涙は電車の床を濡らす。
馬鹿げた死因に呆れ果て、涙も渇れ果ててしまえばいい。
修学旅行での二日目に、大浴場でフザケテ滑って転んで頭を打って、亡くなった。
電車は、私の身体を勝手に電車があの町へと運ぶけど、ホームに着いたら私の足は、うまく動いてくれるか心配だ 。
絶えず、テスト明けの時のように、頭の中は霞がかかりっ放し。
見覚えのある屋根の家は宝物を隠すように、知らん顔していた。
外気に触れて、あの気丈なあの子の姉が号泣している。その肩を抱えるあの子の母親は悲しみに項垂れるばかり――。
二人の視界に入った私はフリーズ状態。認めたくないから。言葉も掛けない。
彼女の家族が救われない代わりに、葬儀社の人たちがテキパキ物事をこなしています。
あの娘の部屋はそのままに保たれていて、記憶にあった匂いまで感じられた。
ベッドの凹みも、あの娘の形を彩っていたから、唇が、次には足が震えてきて、立っていられなくなり、ベッドに倒れ込む。
何十分も涙を流し続けてシーツと枕は水溜まりの一部。
雨だけが、水溜まりを意識付けるものではないと 、思い知った日。

水溜まり

水溜まり

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-17

CC BY-SA
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