深海(仮)5


「お母さん……お父さんは、どこに行ったのかな」




クマノミが言う。




その言葉を聞き母クマノミは、





一瞬戸惑った表情を見せたがすぐに微笑み、



優しい声で




「お父さんは、逃げることができたみたい。
私達みたいにはならなくて済んだのよ」




そう言って、クマノミを抱き寄せた。





「そっか。お父さんならきっと、逃げられるもんね」




クマノミは、母クマノミの抑えきれなかった涙に気がつくことはなかった。




──────────





「陛下、これは国の危機です。戦いの準備をするべきでは」





「落ち着きなさい、既に準備はできているわ」




「国民もかなり困惑しているようで、広場に集まっています」




「そうか。では私が説明をする。急いで残りの国民も集めるのだ」




「はっ」

深海(仮)5

深海(仮)5

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-12

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