妄想シチュ『私の誕生日』

 年に一度の誕生日
 今日は彼の家でのんびりと二人でお祝い

 二人では食べ切れないのではないかと思われる、イチゴがたくさん乗っているホールケーキを用意してくれたり…
 きちんと私の年の数だけロウソクを立ててくれたり…
 ちょっぴり音痴なバースデーソングを歌ってくれたり…
 ロウソクを消そうと息を吹き掛けたけれど、それは簡単には火が消えないイタズラグッズだったり…
 結局ケーキは半分しか食べられなかったり…

 とても楽しいお誕生日会を開いてくれました。

   …

 ケーキを食べて、その後は並んで座っておしゃべりをしながらのんびりと過ごした。
 しばらくすると、彼は私のほうに向き直って笑顔を見せた。

「さあ、目を閉じて」

 私は言われた通りに両目を閉じる。
 ごそごそと、何かを取り出す音が聞こえてきた。

「手を出して」

 私は言われた通りに両手を前に差し出す。
 彼の手が私の左手に優しく触れて、そして。
 薬指に、何かをはめられる。
 結婚するわけでもないのに左手薬指を選んでしまうのは、なんとも彼らしい。
 これは目を開ける前から明らか。
 彼は指輪をプレゼントしてくれたのだ。
 そういえばこの前指輪の話をしたな。
 金属アレルギーの有無や指輪のサイズを聞かれたっけ。
 それは今日のための会話だったのね。
 んー、もしかしてペアリングかな?
 どんなデザインなのか、とても楽しみだ。

「目を開けてごらん」

 彼のその言葉を待って、ゆっくりと両目を開く。
 私の指にはまっていたのは、シンプルな薄い桃色の指輪だった。 彼の左手薬指にも同じデザインの指輪がはめられている。

「俺達は、運命の赤い糸で結ばれている、なんてね」

 彼の言葉通り、まさに文字通り、私の指輪と彼の指輪は、赤い糸で繋がっていた。
 そう、これは運命の赤い糸だ。

「これからも、ずっと一緒にいような」

 その言葉に、私は涙ぐみながら「もちろん」と即答したのだった…

妄想シチュ『私の誕生日』

妄想シチュ『私の誕生日』

ロマンティック妄想ストーリー

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-12

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