匙は匙でも金の匙

主人公は王様が、隠した者か、見付けたものか、

金の匙は、不老の証

『むかぁ~しむかし、あるところに今にも死んでしまいそうな一国の王様がおりました。王様は死ぬのが怖くて怖くて、ある日、らその国より昔から伝わる金の匙の伝説を思い出しました。それは金の匙という幻の匙があり、それで食事を取ると不老の身になるという何とも不思議なお話です。すぐに王様は国の騎士や、魔女を使って金の匙を探させました。しかし、それを良く思わない一人の人物が、金の匙を1番に見つけてどこかへ隠してしまいました。とうとう匙も見つからず、王様は亡くなってしまったのです。しかし、王様が亡くなってから数年後、匙を隠した者の傍から金の匙を見付けた人物がおりました。そのものは匙を隠した者に毒を盛って殺してしまいました。こうして、匙を最後に手にしたものには、永遠の若さと、一国の主となる権限を神から授かり、幸せに暮らしましたとさ。』



いつか、本で読んだことがあったかも知れない。
『匙は匙でも金の匙』
何気ないこの絵本を、私は今18にもなって思い出している。
内容は、、確か、。
「不老の証だった金の匙を、どこかの国の王様が魔女や騎士を使って探させるっていうのだったかな?」
そんな話だったように思う。
まぁ、これまでの脳内発言はただの前置きでしか無いのだけれど、なぜ私がたった今、現在進行形でしかも今日は休日[とても貴重]にこんな下らない話を展開しているかというと、
「そりゃまぁ、此処に金の匙があるからですよねぇ~、」
朝起きて卓上に置かれていた金の匙、今時純金で出来た匙なんか見たことが無い。
しかしこれは紛れもなく『金の匙』だ。
私が此処まで喉を掘って金の匙だと確証しているのにはいくつかの理由がある。

その一、家にある鉄の匙と持ち比べた結果明らかに家の匙よりも重い。

そのニ、少し断面が欠けているところを見てみると!その側面も金色である。

その三、金の匙と思われるこの匙はかなり年季が入っているが、家にそのような    古い匙は無い。

事が証拠として上げられよう。となるとこれは本物の金の匙。
「売ったらお金になるよね、」
よし売ろう。
即決で売るべし、もしこれが本物の金の匙だった場合、あの絵本と同じような物語が私の人生に起こりうることとなれば、、それは大問題だから。
「巻き込まれたくないし、めんどくさいし、」
金の匙を持って家を出ようと靴を履き、何事もなくGold専門店にいってお金に替える。
「ふへへへ、結構な金額になりましたな、」
まぁ、これはこれで世間一般ゲスな人間だと罵られるだろうが、我慢しよう。
しっかしあの絵本の最後の結末がどうしても思い出せない。
「結構有名なお話だったんだろうけどなぁ」
本屋にでも行ったらあるだろうか?
成り行きで近所の本屋に入る。
するとそれはすぐに見つかった。
「あ、あった、」
取り合えず絵本を手に取りレジに向かって会計を済ます。
家に帰ってからビリビリと袋を破って念願の結末を目にした、、が。

「嘘だろ、早く言ってよ」
私の意識は暗転した。

匙は匙でも金の匙

匙は匙でも金の匙

金の匙は不老の伝説となった。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-23

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