泣き虫革命

プロローグ

こどもの頃は、未来の自分にまっすぐな希望を持っていた。


内気で泣き虫で、いじめられっこな自分が昔から大嫌いだった。それでも、どんなに自己嫌悪に陥っても、未来に希望を持つことだけはやめなかった。

大丈夫、おおきくなったら、明るくてすてきなひとになれる。自然に泣き虫も直って、いじめられることもきっとなくなる・・・そう、心から信じていた。

でも、そんなことなかった。
小学、中学と上がり、そして高校生になっても、全然何も変わらない。変われない。相変わらず自分の意志をしっかり伝えることはできないし、よく涙はこぼれてしまうし、いじめられることはもうなくなったけれど、おそらく使いやすい奴だと思われていることだろう。

そうして僕は、馬鹿みたいに前を見ることをやめた。納得して、受けとめた。僕はずうっとこのままで、変わることはもうできないのだ。そんな考えこそ馬鹿みたいだと思うひともいるだろう。でも、こんな自分になってしまうのは運命だったのだ。・・・そんなことを思うしかないほど、重症ということである。

もう、きらきらした毎日なんて期待しない。
高校生活は、目立たず、無難に、人に迷惑をかけないように。
最初から期待していなければ、苦しいほどの幻滅はやってこないのだから。


ーーーーーそう、おもっていたのだけれど。

泣き虫革命

泣き虫革命

高校生となった望月空太は、その内気な性格のせいで、自分の思いを秘めてことばにすることができずにいた。けれど、1人の少女と出会い、出会いは広がり、少年は変わっていく。歌を歌うって素晴らしい!という思いを込めた物語です。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-21

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