短歌2

人はみな孤独だなんて言わないで。僕のそばにいてそんなのずるい。

抱きとめる胸だけ綺麗であればいい。守る背中はズタズタでもね。


重ねあう肌の熱さはいっしょだよ? こわがらないでそばにおいでよ。


コンコンと胸の上からノックする。心はいますか?  今、留守みたい。


怒るべき時に怒って、泣きたいと思う時泣いて、笑う。底から。


ありがとう。産まれてくれて。ありがとう。育ってくれて。ずっと愛してる。


直球で、悲しい声を投げつけて。死んでも捕るから。受け止めるから。


ねえ、もしも地球の空が青じゃなく、肌色だったら楽に生きれた?


この地球(ほし)を今から食べる。どう思う? 毒なのかな。薬なのかな。

折れそうな細い小指をからませてゆびきりするの? だから嘘つくの?

もうやめて。胸が灼かれて苦しいよ。君の舌から太陽の熱。


好ーーーーきーーーーーーだーーーー! うん、気づいた。好きだ。好きなんだ!


「好き」という言葉のカロリーはどれくらい? 食べさせたでしょ、ちょっとは太ってよ。


真夜中に突然死にたくなるように、「触れられたい」も突然くるの。


いち、に、さんっ! 笑顔できみに飛び込もう。キャラじゃなくてもそばにいたいから。


ふんわりと花開くように微笑む、自分と同じ性別の人。


ベッドの中、あなたが舐めるその口の、キャンディーみたいにゆっくり溶けたい。


出なかった言葉が舌で湿ってる。べっしょり濡れてもう言えないの。


ネクタイは首吊るための道具です。死ぬ時ぐらいはお好きな色で。

この雪を降らせてるのは誰ですか。そんなに世界が悲しいですか。

気づいてた。月は宇宙で溺れてる。僕は夜に手を。届かない手を。


お別れに感謝を込めて花を置く。棺の母の乳房に寄せて。


ささやいて。ウィスパーボイスの甘い声。耳をとろりと溶かしていく舌。


つらいならすぐに呼んでよ抱きしめて。体温計の代わりにしていい。


立て札を君の心にぶっ刺したい。「僕への想いを断つこと禁ず」


肉食の獣が獲物にするように深く噛んでよ。痛みも欲しい。


愛しさに突き動かされて汚れてく。下心です、性愛なんです。


蜂蜜をあなたの喉に流してく。溺れるまでだよ? 浮気の罰。


あやまちと思うならいいよ舐めてみて。甘く感じたなら僕の勝ち。

死に絶えた恋の果実を抱いてるの。腐汁でさえもまだ甘いから。

キスしよう? ムードも意味もあとまわし。幼くていい、計算しない。


クリスマス、君を待つから保護してよ。純愛なんだよ絶滅危惧種。


笑顔でも人のからだの六割は水でできてる。きっと涙で。


恋しさがお酒に溶けるって知ってた? そのカクテル、美味しかったでしょ。


よく冷えた銀のスプーンでこの恋をすくってください。溶け出す前に。


ねえ歌って。君の言葉で目覚めてく。眠ってた予感、未来への夢。


探してた世界の果てを見つけたよ。きみの笑顔が世界の終わり。


きみと住むこの範囲だけあればいい。残りの世界はみんなで分けて。

愛情が「溢れる」のなら溢れてよ。垂らしてこぼしてドロドロにして。


「心にね、流れてる血がドロドロで。言葉を食べて綺麗にしましょ」


愛情が欲しくて胸に潜るならどうぞ深くへ。溺れていいよ。


僕にさえ秘密にしてる花園があるなら見せて。薙ぎ倒すから。


からっぽな心に花を植えるなら薔薇をください。胸刺す棘を。


「私にはなんにもないの」 光で満ち溢れても月は乾いてる。


よかったらきみの狂気をちょっとだけ食べさせてよ。だって美味しいの。


殺してよ。命を乗せた天秤は命でしか釣り合わないし。


ゆるゆると目覚めた朝は寂しくて、百合の花弁にキスをしてみる。


会えない日、わたしの心は月のよう。痩せて痩せて今は三日月。

「可愛い」の泥沼で溺れ死んでも、なお逃げ切れぬ少女地獄。

この胸の鼓動が伝わらないなら心臓なんて止まってしまえ。


酷暑危暑猛暑暴暑死暑殺暑あついあついあつい死にそう!


裏側はそう簡単に見せないよ。月だって裏は見せないでしょう?


間違いを消し続けた消しゴムがそろそろなくなる。僕も限界。


「正しい」のそばにいるのも大変だ。天使の羽にはトゲが生えてる。


丸腰で戦えるほど強くないの。涙ぐらいは装備してなきゃ。


星空の星を集めてバラまいて、夏の星座を決め直そうか。


もしもこの体がチョコでできてたら、残さずぜんぶ食べてくれたの?

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10まで焦らしてきみにキスする。

ねえ知ってる? かみさまなんていないんだ。だからあなたは? あなたはだぁれ?


いつまでもなれないでいるから思う。「大人になるのも才能かも」


火葬され、燃えたら文字になるからね。読んだら胸に仕舞ってください。


一途二途三途四途五途六途。一途じゃ足りないの重たくていい。


三日月が夜からくるりと飛んできて、恋の命を奪って去った。


雪のせい。つないだ指の冷たさに気づいてはダメ。気づいてはダメ。


湯船こそ39℃の我が棺。このまま死んでお湯に溶けようか。


終わるなら生け贄がいる。大量の蝉が死ななきゃ夏は終わらない。


郵便受け、開ければ「メェ」とヤギ一匹。手紙は今日も届かずにいる。

きみが好き。何度でも言う。きみが好き。きみが好きなの。大好きなの!

欲しいのは白雪姫の毒リンゴ。次のキスまで眠っていたい。


部屋のすみ、二つの友と寄り添ってた。明けない夜と、やまない雨と。


この世界──ずっとなじめずいるきみは、不思議の国の孤独なアリス。


初めて握ったきみの手の中に、胸焦がすほど熱い太陽。


「愛してる」 何度も言ってね、聞きたいの。確かめないと不安になるでしょ?


僕という花があるなら、花言葉は『ただひたすらあなたを想う』


ほらごらん。世界の終わりの夜みたい。星が静かに月を殺してる。


君が誰にも望まれなくても、ぼくらに望まれ君は産まれた。


どうして体はこんな重たいの? 心だけなら高く飛べるのに。

弱いから、命をかけて笑ってる。笑顔が「救い」って、そう信じてる。

乾いてく瞳でなにも語らずに、血がにじむほど爪を噛んでる。


歯車のこの身の安堵。壊れてもいいと思えば生きていける。


ない牙で噛みついてます、必死です。あたたかいものが欲しいのです。


単純に「終わってない」から眠れない。いつなら今日を終わっていいの?


人間が人間だから人間の人間により息苦しくて。


恋とかじゃなくただ君がいいの。触れて笑ってそれでいいの。


欲しいのは「君との未来」ではなくて、君との未来のむこうの「甘さ」


前向きに。後ろは見ない。前向きに。後ろは見ない。後ろは見ない。


背中には羽がないってわかってる。背中には過去。私は飛べない。

唇も指も性器も道具だし、使えばいいよ。恋とかいらない。


青空をお薬みたいに飲みながら歩いていく。寂しい。寂しい。


縦と横。手首の傷は二次元で、三次元には届きもしない。


手をつなぎ今日を終えよう。もしも明日、目覚めなくても。「またね。おやすみ」


浅ましくすがりついてるこの恋は、強さでしょうか、弱さでしょうか。


まっすぐな愛が狂気を孕んでく。狂ってでもなきゃ愛していけない。


夜、零時。チクン、タクンと鼓動する、時計を抱いて恋をひそめてる。


正解が毎日変わる世界でも、傷の痛みで許せる気がした。


欲しいのは優しいだけの物語。あなたの声に閉じこもりたい。


「愛情は勝ち負けじゃない」なんて嘘。勝ってよ。愛して。愛されてない。

短歌2

短歌2

「僕にしか僕になれない」 さあ今日も僕を始めよう、僕になるため。(──短歌)

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-03

Public Domain
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  1. 人はみな孤独だなんて言わないで。僕のそばにいてそんなのずるい。
  2. 折れそうな細い小指をからませてゆびきりするの? だから嘘つくの?
  3. この雪を降らせてるのは誰ですか。そんなに世界が悲しいですか。
  4. 死に絶えた恋の果実を抱いてるの。腐汁でさえもまだ甘いから。
  5. 愛情が「溢れる」のなら溢れてよ。垂らしてこぼしてドロドロにして。
  6. 「可愛い」の泥沼で溺れ死んでも、なお逃げ切れぬ少女地獄。
  7. 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10まで焦らしてきみにキスする。
  8. きみが好き。何度でも言う。きみが好き。きみが好きなの。大好きなの!
  9. 弱いから、命をかけて笑ってる。笑顔が「救い」って、そう信じてる。
  10. 唇も指も性器も道具だし、使えばいいよ。恋とかいらない。