一人暮らし

これは、一人暮らしを始めた女子大生のお話です。

一人で暮らすっていうこと

ふと目が覚めったら、まあるい見慣れない電気があって、いつも町から聞こえてくる太鼓の音も上の階に住んでる人の足音に変わってて、あーやっぱり夢じゃないんだって実感する。朝起きたらトイレに行って、ご飯食べて、歯を磨いて、着替えたらカーテンをあけてがっかりする。
「外見えないじゃん。」
そうつぶやいて窓の鍵開けて、ゆっくりひらける。真っ黒な防犯用ののシャッターを下からよいしょっと持ち上げると、冷たい風がぶわっ吹く。
「曇ってるし。」
せっかくシャッターを開けたのに空がまだ私に心を開いてないように感じた。まだバイトも決めてないし、友達もいない。慣れないこの街の空気に私はまた毛布にくるまった。
「つまんない。」
この三日間お母さん帰ってから料理もしたし、掃除ものした。ちょっとだけだけど勉強もしてる。何がいけないのかわからない。アプリの漫画だって毎日欠かさず読んでるのに、そのなんでもない刺激のない毎日に飽きてきた。それでも私は今日はちょっとだけ気持ちが弾んでる。
「早く明日にならないかなー。」
一人暮らしって本当に寂しくて独り言が多くなる。ちょっとだけ笑みがこぼれた私は、今日何をしようか悩んだ。高校の友達に何しとんのって聞くと大体みんな勉強って返ってくる。私だってやっとるしって思うけど多分あっちの方が何倍もしてると思うと考えたくなくなって携帯を見た。明日は待ちに待った大学のオリエンテーション。私にとって友達ができる第一回目の交流の場で、明日が終わったらバイトを決めることにしている。私は洗面台に行ってファーストピアスに向かって消毒液をシュッシュッとかけた。

一人暮らし

一人暮らし

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-03

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