どこかなあ

こんな男の子がいたとする。容姿はよくない。性格は暗い。学力だけはそこそこ。
こんな女の子がいたとする。容姿は学年でも随一。皆に愛される性格。学力もそこそこ。
二人が同じ学校、同じ教室で出会うとする。
あるとき女の子は男の子に話しかけるとする。
男の子は女の子に恋をしたとする。
ふたりは付き合えることになったとする。

ふたりは周りからは仲良しに見える。
ふたりで歩く。ふたりで話す。ふたりで選ぶ。
男の子は笑う。
女の子は笑う。

あるとき、男の子は気づく。
この人の目に映るのは自分ではない。
その人の話をする顔、声、すべてが物語る。
女の子も気づいた。
自分の心はこの人にはない。
この人には、何も感じない。

ふたりは終わる。切れる。
女の子は糸を切る。
男の子は糸を結ぼうとする。
女の子の糸はするすると逃げる。
そして別の人の糸がつながる。

男の子は女の子が好き。
今でも女の子だけが好き。
それでも今はかなわない。
気づいている。
叶わない。敵わない。適わない。

ふたりは今は「お友達」。
女の子も男の子の気持ちには気づいている。
それでも「お友達」。

それって一番残酷でしょう。

「こんな男の子がいたとする。容姿はよくない。性格は暗い。学力だけはそこそこ。」
「こんな女の子がいたとする。容姿は学年でも随一。皆に愛される性格。学力もそこそこ。」
「二人が同じ学校、同じ教室で出会うとする。」
「あるとき女の子は男の子に話しかけるとする。」
「男の子は女の子に恋をしたとする。」
「ふたりは付き合えることになったとする。」


どこで間違えたのかなあ。

どこかなあ

どこかなあ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-03

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