みんなの日常

田舎や都会での日常小説

「やだやだやだーーーーーーーーーー! こたつはまだ使うのぉ!」

「なに言ってんの! 愛美! もう三月よ。いい加減かたずけますからね。」

そんなひどいことを言ってきたのは、私の母親だ。

母親いわく、三月にこたつは必要じゃないらしい。

しばらく、抵抗していたら、リビングから弟の声が聞こえてきた。

「姉ちゃん! 冷蔵庫の中にある、プリン食べちゃって良い?」

「駄目! 私が食べる!」私は叫びながら、リビングに向かった。

そのすきに、母親がこたつをかたずけた。



俺は、駄菓子屋のせがれだ。

正直に言ってしまうと、この駄菓子屋家業継ぎたくない。

今、俺は漫画家を目指している大学生。

こんな田舎にある、大学なんてたかが知れているがな。


 「おい、突然だが今日の店番やってくれね? おこずかいは弾む。」

「おいおい、父さん。俺は今、新人賞に持っていく漫画書いているんだよ。」

まあ、おこずかいが欲しいからやるんだけど。


 俺が店番をやってから、一時間半ほど過ぎたとき、

「暇だ……」俺は呟いた。

 そんなこと言ってから、すぐに思い返す。

当たり前だ。こんな田舎にある駄菓子屋、人が来ない。勿論儲からない。

だから、生活必需品を売っていたり、レンタルをしていたり。

その後も客は、来なかった。


 店番やってから、三時間ぐらいたったころ、やっと客が入ってきた。

「黄な粉棒くださーい。あれ? たかしじゃん。今日は店の手伝いかな?」

「なんだ、愛美じゃんか。こたつにこもってるんじゃなかったのか?」

「こたつはかたずけられた。それより黄な粉棒。」

「はいはい。一本十円な。」俺は呟きながら、黄な粉棒の箱を愛美の前にだした。


 そのあと、一時間ほど興味のない話を聞かされ、疲れ果てて、眠りについた。

愛美は本当にめんどくさい奴だ。

みんなの日常

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-30

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