黄昏時

黄金の粉がさらさらと満ちたまぶしい空に
たゆたう雲がやわらかく
乳白色にかがやいている

そうした光の差し込む部屋で
しずかにふたりは紅茶を飲んだ
かちゃり、かちゃりと 冷たい音が
ただ 沈黙を埋めていた

ひんやりしてきたそよ風に
なんとはなしに肩を並べて
ひとこと、ふたこと、
あること、ないこと
ぽつりと話して
微睡んで
そのままふたりは眠りに落ちる

彼らの顔は光に溶けて
輪郭ばかりが 寄り添っている

黄金の粉がさらさらと満ちたまぶしい空に
たゆたう雲がやわらかく
薄紫に色めいている

黄昏時

※さらさらと を行を分けて二回繰り返していたのですが、中原中也の「一つのメルヘン」とまったく同じことをしていたことに気付き、あまりの恥ずかしさと罪悪感に表現を書き換えました。中原中也の名を汚すようなことをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。

黄昏時

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-16

CC BY-ND
原著作者の表示・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-ND