未知との遭遇

NAHAがこの星に何らかの物体が近づいているという衝撃報道から1週間がたった。テレビは連日その話題で持ちきりになり、隕石説や未確認飛行物体説やら根も葉もない噂を学者は偉そうに語っている。世界では「この世の終末だ」などと叫びながら暴れている輩がいるらしいがこの島国では全くそんな事はなくこれまでと何一つ変わらない日常が広がっている。私もその1人で今日もこうして仕事へ向かっている。会社に到着し自分のパソコンの前に座り、パソコンを立ち上げている途中、隣の同僚が
「これちょっと見てくださいよ」
と肘でつつながら言ってきた。私がそちらを向くと、彼の手に時はスマホが握られており、その画面にはSF映画が流れていた。
「その映画がどうかしたのか? 」
「違いますよ、映画じゃなくて中継ですよ。」
彼のスマホの画面には依然として古典的な形のUFOが映し出されていた。これが中継とはどういう事なのだろうか。2人で食い入るように画面を見ていると突然UFOの下方部が開き始めた。中から出てきたモノを見て私は驚愕した。私が子供の頃見たSF映画に出てきた宇宙人そのものではないか。体に白い服をまとい、背中には大きなタンクのようなものを背負っている。被っているマスクの向こう側は光が反射していてよく見えない。画面の中では顔の6割を覆う大きな瞳を潤ませ、全身が緑色のわが星の住人達が短い腕と3本の指を全力で振りながら、その宇宙人の訪問を歓迎した。

未知との遭遇

未知との遭遇

短いです

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-13

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