スケッチ
『スケッチ』
水彩に滲んだ空から
滴る
思いの雫が
ぴた、と
土を撃つ
風が湿った空を
カラカラにして、
赤い、
赤い雲が
流れていく
追う
無数の眼差しは
星になる
濃紺の気配が漂う
地を這う虫が
翅を震わしている
猫がひっそり
忍び寄って来る
忘れられた小ささを
胎内の深い奥に
宿しながら
母は宵に目を瞑った
草いきれの中から立ちのぼる
甘酸っぱい匂い
小川が一筋、細々と流れていく
どこまでも
スケッチ
かつてCessnaという名前で投稿したものです。