紙ふうせん
『紙ふうせん』
紙ふうせんが、ふたつ
あなたが作ったのと
わたしが作ったのと
折り目正しい、あなたのふうせんと
どこかぎこちない、わたしのものと
窓辺にちんまり、ふたつ、転がっている
やわらかそうな影がその上に掛かっていた
端のぼやけた影だった
まぶし過ぎる日差しの、その下で
あれは爆弾なんだよ、ってあなたは笑った
わたしには何のことだかわからなかった
あなたは話した
あれの中には、僕たちの色んなものが詰まっている
だからもし壊れてしまったなら、
僕たちは、
ひとたまりもないんだよ、と
紙ふうせんは静かに、窓辺に佇んでいました
私はあなたを抱きしめて、目を瞑った
あなたはそっとそんな私の背中を撫でた
紙ふうせんの弾ける日は
きっと永久に訪れない
それだけが、私の祈り
紙ふうせん