交差点にて
『交差点にて』
電話ボックスの中には電話がある。
交番の中には、机と、制服があり、あと、警察官がいる。
道には老人が歩いている。車も走っている。
向こうの公園に犬がいる。猫も見かける。
空にはちぎれた雲が浮かんでいた。
鳥もちらほら飛んでいる。旅客機が轟音を立てて、遥か彼方へ去って行く。
老人が郵便局へ入って行った。
郵便局の前にはポストがある。赤く、四角く、一本足である。
郵便局の向かいにはコンビニがあった。
コンビニの隣りには、八百屋があった。
八百屋の店先にはたくさんの野菜と果物が並んでいた。
キャベツやジャガイモ、ニンジン。タマネギにキュウリ。リンゴ、オレンジ、アボガド、みかん。
タクシーが交差点で、信号の変わるのを待っていた。
タクシーの後ろには灰色のワゴンがいて、その後ろには軽トラがいた。
色とりどりのランドセルを背負った子供がはしゃぎながら、公園の中の、体育館の前を通り過ぎて行った。
孤独が差し迫って来ていた。
開いた両手のひらにみすぼらしさが染みてくる。
公園の時計の針がほんの少し、右に触れた。
交差点にて
かつてCessnaという名前で投稿したものです。