サボテンと愛の歌
『サボテンと愛の歌』
ふたつの頬が、ほんのりと朱に染まる
柔らかな微笑みが、語り合っている
茜差す
窓辺には街の明かりと、
影の溜まったサボテンと
部屋にながく落ちる、ふたりの影
時の経つのも忘れるぐらい、静かに
今いるこの場所が、地上に残った
最後の隠れ家でもあるように
ふたりはあたたかな涙を流す
お互いの身体の小さな震えが、愛おしい
夜が訪れたなら
ふたりは抱き合い、祈るだろう
こっそりと
サボテンの
その棘の、変わらぬ鋭さを
尖った針は、ふたりの魂の形であるから
永久に続く痛みをふたりは願う
お互いをいつまでも感じ続けるために、
震える身体を寄せて、
ぬくい身体を抱きしめて
サボテンと愛の歌
かつてCessnaという名前で投稿したものです。