少女

『少女』

 長い廊下の、その果てに
 彼女は何を見たのだろう

 誰もいない教室の
 静けさや
 使われない部屋の
 空白が

 きっと彼女にそうさせた

 校庭には人がいたという
 少し階段を下りれば、職員室もあった

 だけど彼女には誰もいなかった
 彼女の世界には廊下と教室しかなくて

 とても長い、彼女にだけわかる
 莫大な時間が
 目の前に横たわっていた

 明日があるなんて言うのは
 死ぬほど残酷なことだった

 長い廊下の、その果てに
 彼女は何を見た?

 彼女は、その答えを拒絶したのだ

 そうして屋上へと続く戸を開けた
 
 残酷な刻をほんの少しだけでも
 早めたくて

少女

かつてCessnaという名前で投稿したものです。

少女

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted