3月9日

瞳を閉じればあなたが瞼の裏にいたりなんてしない。だからそんなことで強くはなれない。私は私の力で強くなる。
卒業旅行含めた旅行期間もこれが最後。一緒に行くはずの友達が感染症にかかって1人温泉。満喫出来ちゃうことがちょっと怖いけど、別にいいかな。
24時間営業の温泉は素晴らしい。
知ってる人も思い出もなにもない田舎町の、思ったより乏しくない街灯をただただ眺めている。知らない誰かの今を考える。それがきっと今の私のお仕事。有名温泉で殺人もあったし、きっと闇なんてたくさんある。田舎の闇は残酷だ。
何も通らないけど信号はずっと稼働している。多分青と赤の切り替わる間隔は1分。
マッサージをしてくれたおじさんにも若者にもなりきれない、イケメンでもブサイクでもない男との話で盛り上がる。寂しかったんだと思う。寂しさは結構正直。
きっとテレビでこの町を見たら、この町の話を聞いたら、この町の近くを通ったら、考えるのはこの男のことになる。だってそれしかいないし。
この旅行期間で私は太ったし、でもそれはわたしにとって必要なことだから、この期間は自分の人生で割と大きい割合を占めるものにもなるのかなってなんとなく思った。私の人生なんて大したものはないしね。

3月9日

3月9日

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-10

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