あなたへ 思い起こせば伝えてないことばかり

あなたへ

手紙、読んでくれたでしょうか?
因みに私は、あのとき伝えきれなかったことを手紙に残そうと思ってから、鉛筆を握っている時間が増えました。あなたに伝えていなかったことの多さに、びっくり!!
でも、今の私にできることは、せっかくあなたにもらったのに、自分の中に抱えこんだままだったこの暖かい気持ちを、薄れる前に形に残すことくらいです。

私があなたに初めて会ったときのことは、前に話した通り。自分がどうしたいのかわからなくなっていた私は、いつもいつも、下を向いて、考え込んでいました。答えは自分の中にあるくせに、見えなくて、見えなくて、行き止まりの道で、空を見上げることも忘れていたような気がします。そんなとき、上を向くこともできない、そのときの私には精一杯の視野に、あなたの姿が入りました。あなたは、見ず知らずのお兄さんでした。あなたは、歩くのに一生懸命という風で、私のほうには目も向けずスタスタと歩いて行ってしまったけど、私は、そのときのあなたの姿を見て、きれいな青空を思い出しました。不思議だった。なんでかわからなかった。けど、もう一度がんばってみる気持ちになったの。

あなたがもう一度私の目の前に現れるのは、それからしばらくしてのこと。

あなたは、空みたいな人よね。
初めて見たときは青空が思い浮かんだけど、あなたと一緒にいるようになってからも、今も、やっぱり空みたいって思う。

空みたいなあなたを好きになったって話をしようと思ったのに、長くなってしまいました。
なんで空?って?
それは、また今度。

あなたへ 思い起こせば伝えてないことばかり

あなたへ 思い起こせば伝えてないことばかり

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-07

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