ドジっ娘の初デート
県 裕樹
ドジっ娘、頑張りました!
待ちに待った約束の日! 今日はアレキサンダー様とのデート! キャー! 心臓が口から飛び出しそう!
お弁当も自信作だし、とびっきりの秘策も……おっと、これはまだ内緒!
***
「……おい、何だその真っ赤なナリは」
「いや、迷子になっても目立つようにと」
「お前のドジに付き合っている暇は無い、逸れたら置いて行くからな」
ああ、何時もの厳しいお言葉……でも、いいの。どこまでも付いて行くって決めたんだから!
***
「うっプ……」
一番怖いアトラクションに付いて行き……私は気持ちが悪くなってしまいました。でも、その間ずっと腕にしがみ付いていた私を、アレキサンダー様は邪険にしませんでした。
「おい! 俺様は腹が減ったぞ、メシにしろ」
待っていました、そのお言葉! 丁度良く、芝生の綺麗な広場が目の前にあります。そこに敷物を敷いて寛いで頂きましょう。
「随分と個性的な料理だな」
少々怯んだ様子を見せたアレキサンダー様は、それでも一口目を口に入れてくださいました。が、刹那……
「……! の、飲み物を!」
「は、ハイ!!」
私は急いでお茶の入った水筒を渡したつもりでした。でも、その水筒の中身は……ブランデーでした。
「な、何を飲ませ……た?」
「えっ? お茶を……あぁっ! ま、間違えましたぁ!」
これは計算外! ほろ酔いにさせるつもりはあったけど、ここまで酔ってしまわれたらラブラブモードどころではありません。急いで介抱をしないと……でもアレキサンダー様は、既にご自分でコップを持つ事も出来ないご様子。私はもう夢中でした。
お茶を口に含み、アレキサンダー様のお口へ……その瞬間、しっかりと私たちの唇は重なり合って……
「今のが一番、美味かったぞ」
膝枕でお休みになるアレキサンダー様を、私はずっと眺めていました。私の目線に気付かれると、プイと横を向いてしまわれましたが……嫌では無いご様子。私、報われたのでしょうか……?
<了>
ドジっ娘の初デート