ブルーデージー

シロツメクサをスカートのお皿いっぱいに摘んできた。お姉ちゃんに持っていくといつもそれを冠にしてくれた。

「ほら、女王様。」

綺麗に編まれた白と緑の冠は私の黒髪に良く合った。お姉ちゃんはいつもそう言って嬉しそうに笑ってくれた。

「みどりが女王様だったら、お姉ちゃんはなに?」

そう質問するとお姉ちゃんはいつも困った表情を見せて首を傾げた。
私が急かすと、頭の上に豆電球を浮かべたようなハッとした顔をした。

「やっぱりお姉ちゃん、女王様のお姉ちゃんかな。」

お姉ちゃんはいつも幸せそうに笑った。


お姉ちゃんはいつも。
お姉ちゃんはいつも私のためだった。
お姉ちゃんはいつも、いつも...いつも..

「最上っ!!」
「へあ、あ、はい。」

お昼ご飯の後、四時限目。眠気はピークに達し、ハゲ頭の数学教師の話なんかこれっぽっちも頭に入ってこない。
それにしてもいつ眠ってしまったのか、いや、居眠りは今に始まったことではなかった。

「今の話きいてたかー?」

聞いてるわけないじゃん...寝てたんだから。なんて反抗的な事は口に出来るはずはなく、隣の席の子に助けを求めた。

“√2”

隣の席の子のノートには私から見える場所に、その文字だけ書いてあった。
トントンと指先で示している。

「√2です。」
「あ!?」
「え?」

その文字をみて、私はそれが答えなんだと思ってしまったが違うらしかった。
隣の席の子はクスクスと肩を震わせていた。声なしの笑いだ。

ブルーデージー

ブルーデージー

ーーーなに、してるの? 高校2年生の冬、帰り道。ふといつも通る海を見ると同じ制服の女の子が海の中に立っていた。雪がちらつくとてもとても寒い日だった。 ーーーなんだろうね。 確か、笑顔を浮かべていた。と思う。 ありきたりな毎日の学校生活。一人一人、抱えているものは違うけど、友達としていられるのはそれを表に出していないからなのかもしれないね。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-05

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