お姉ちゃんと俺君の世界テクテク旅 ヨーロッパ パリ編 『時代の流れ』 

それは旅も終わりに近づいたパリでの出来事だった。

それは旅も終わりに近づいたパリでの出来事だった。

最後の寄港地アムステルダムでクルーズが終わり、トワイライト・クルーズに魅了された
ブダペストから2週間リバー・クルーズを共にした人達が、帰国の為スキポール空港へ、
次の国へ向う為アムステルダム駅へと向う。 
ある人は固い握手を交わし、強くハッグし、別れを惜しみ、ある人は涙ぐむ。 
そんな感情が行き交う船着き場を後に、お姉ちゃんと俺君は朝日に照らされたパリ行き
大型バスに乗り込んだ。

なんでも お姉ちゃんは俺君に会う前に、1ヶ月フランス南部ツゥーロン近くのイエールと
いう小さな田舎町でホーム・ステイしてフランス語を勉強していたらしい。 
もうずっと昔の話しだ。 それから殆どフランス語は話していないが、それならパリでは
昔取った杵柄だと、思っていた。

パリのホテルは、パリ8区、凱旋門から徒歩15分くらい、シャンゼリセ大通りまでは裏道
からワシントン通りを歩けば10分くらい、印象派の画家モネの作品にも描かれ、高級
ホテルが軒を連ねるモンソー公園の近くだった。
以前はヒルトン・ホテルだったらしいが、最近その傘下を離れ、「ホテル・デュ・コレクシオ
ネールー・アルク・ ドゥ・ トリオンフ」という舌を噛みそうな長い名前のホテルで、5つ星
ホテルだったが、地下鉄の駅から遠いのが難点だった。

パリ滞在は4日間で、朝食は含まれていたが昼食3回と夕食2回は自己手配だった。 
近くのスーパーで食料を仕入れてホテルに持ち帰り部屋で食べる、お馴染のケチケチ
旅行パターンを踏襲すべく、パリにしては親切なガイドが教えてくれたように、ホテル前
の道を左に入って5分ほど歩いた所に「Monoprix」という名のコンビニに毛の生えた
ようなミニ・スーパーがあった。

お姉ちゃんは、あの時パリの安宿で一人淋しく食べていたちょっとスモーキーなミニ・
ウインナーを見つけ大喜び。 
それに、一番安いフランス・パン、サラダ、イカやタコがマリネになったシーフード・マリネと
チーズを買った。

ホテルには電子レンジもないので、ミニ・ウインナーが以前のようにそのまま食べれるのか、
それとも火を通さねばならいのかをお姉ちゃんが尋ねていた。 
そして、40年前カタコト英語の質問にフランス語で返された光景を思い浮かべながら
その様子をじっと観察していた。 すると、常識を覆す光景に出会った。 それは・・・・、

お姉ちゃんのフランス語の問いに、”This is cooked”(調理済み)と、店員が英語で
回答したのだ。

一瞬狐につままれたような顔のお姉ちゃんだったが、それでもひるまず”Thank you 
very much”と言わず、再びフランス語で”Merci beaucoup!”(メルシー ボクー)と
謝意を表した。

俺君はフランス語を知らないので覚えようと、紙に書いてもらったが、殴り書きでとても
読みづらい、でもなんとか・・・・、Merci beaucoup!って『読めるしぃ・・・・・僕 !』

お姉ちゃんと俺君の世界テクテク旅 ヨーロッパ パリ編 『時代の流れ』 

お姉ちゃんと俺君の世界テクテク旅 ヨーロッパ パリ編 『時代の流れ』 

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-01

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