ENDLESS MYTH第3話ープロローグ1

プロローグ1

 2人の男は静かに空を眺めていた。視線に力はなく、ただ空の流れゆく雲をボーッと眺めるかのように。
 1人は立ったまま砂の大地を踏みしめて、腕組みをしている。
 もう1人は少し離れた大地からこぶのように突起した岩に腰掛け、脱力しながらすべてを眺めていた。
 2人は細身の肉体をしていて、全身タイツに近い茶色いスーツを身につけ、けしておしゃれとは言いがたい格好をしていた。
 緑色の瞳にはゆっくり壊れつつある地球の姿が映っていた。
「君はどちらだと思うかい? 地球はこのまま消滅すると思うかい?」
 岩に腰掛けた男の方がつらつらと言う。しかし関心は1ミリもない様子だ。
 腕組みした男は少し考え込んでいる風だが、やはり関心は微塵もない様子で、掌を中空に向け、さっぱりだ、というようなジェスチャーした。
 地球から自らの立つ地へ視線を落とす腕組みした男は片足を何度か上げ、地面を蹴飛ばす。
 重力が地球とはことなる月面では、砂が一度中空へ飛ぶと、空へと飛び上がって行く。
「この衛星にまで手を伸ばした人類たる存在」
 と、背後を振り向くと、2人が居る位置から数キロ先に光輝くドーム型のガラスのような物に覆われた都市らしき物が、地球のそれとは異なる静寂を保っていた。
「人類は生き残ることを宿命づけられているものなのだが、果たしてそれが正しいと言えるのだろうか」
 腕組みする男は月面都市を指さし、無表情で同類へ尋ねる。
 月面を見やった岩に腰掛ける男の顔もまた、何にも感じていたい様子で、また同類を見て、薄い笑みを浮かべた。
「さてさて。よちよち歩きの赤ん坊がようやく歩き始めたところなのだから、どうなるかはこれからだ。人類はいずれ、我々を越える種族だ。ここで滅びるはずはないだろう」
「歴史は常に流動的だ。ここで運命が消滅する可能性を秘めている。彼らの戦争は常に決定的とは断定できない」
「それはそうだがしかし、多次元を生きる我々ですら、想像できないとは人類とは彼らに愛されているということなのかね?」
「それは論点が異なる。愛されようと、愛されなかろうと、人類の運命は常に流動的だということだ。我々のように多次元生命体となることなり、先が決定しているわけではないのだから」
 腕組みする男は鼻で笑い、中空で幾つもの核の炎に包まれ、大陸が赤くひび割れ、海が蒸発する地球を見た。
「人類が彼らに相当する存在となり得る。それは紛れもなき真実ではあるが、選択の1つに過ぎないということだな」
 そう言った刹那、地球と彼らが存在する月面との中間宙域に、黒い細長い物体が突如としてヌボッと現れた。まるで宇宙空間という湖から枯れ枝が浮き上がるかのように。
 それがなんであるかを十分に解釈している2人は、顔を見合わせながらうなずき合う。
 そして岩に座る男が立ち上がった。
「イヴェトゥデーションの居城ですな。救世主の覚醒は未だということですね」

ENDLESS MYTH第3話ープロローグ2へ続く

ENDLESS MYTH第3話ープロローグ1

ENDLESS MYTH第3話ープロローグ1

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-25

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