働く破壊神

※Attention※
バベルが喋ります

覇者の塔――
それは遥か昔、破壊神を封印した塔である。
そして各階には番人がいる。ガトリングガンを持った女性、目に入った瞬間相手を即死させる青龍、神を束ねる死者の女神――
そして超絶と恐れられる者達ですら番人となっている。
その塔の最上階に住む破壊神バベル―――

バベル「やべぇよ………」

バベルは頭を抱えていた。それは経営難であった。度重なる覇者の塔のリセット、それによる報酬の買出し、修理代、そして人件費……
いくつもの問題がバベルを悩ませていた。

バベル「やべぇよ………今月もまた赤字ギリギリなんだが…… 何だよ塔の階追加って………ますます負担が増えてんじゃねぇか……」

その時、6人の男女がバベルの部屋に入ってきた。彼らこそ番人も兼ねている超絶の者達であった。

阿修羅「バベル、給料貰いに来たぞ。」

バベル「あぁ給料な。 待ってろ。」

毘沙門天「バベル殿、我にも。」

バベル「分かってるって。」

摩利支天「さて、我も貰うか。」

バベル「お前何3人分貰おうとしてんだよ!」

大黒天♂「タコ助!僕達にも!」

バベル「300円じゃダメか?お菓子買えるぞ。」

大黒天♀「やだ!ちゃんと貰う! ブラックだ~~~!!」

不動明王「煩悩にまみれてる訳ではないが報酬は頂こうか。」

バベル「お前も何2人分貰おうとしてんだよ!」

そして全員分の給料を渡し終わった時、バベルは部屋を出た。この時バベルはある決心をしていた。

バベル「せめて覇者の塔が実装されない間、バイトしよう………」

バベルはさっそく各階の番人からオススメのバイトがないか聞きに回った。

董卓「都に火を放つバイトはどうだ?」

バベル「止めとくわ。」

頼朝「我が源家で武士として働いたらどうだ?」

バベル「歴史狂うから止めとく。」

雲母「我が帝国の地下で行われているジョン万次郎の大量生産工場で働くか?」

バベル「何してんだよ………」

PC-G3「検索してみたが、お前にピッタリな物はなかったぞ。」

バベル「そうか……」

ツクヨミ「ウチのステージで働きますか? 大丈夫です。分身の代わりに乱入してくれれば。」

バベル「炎上するわ。」

そしてバベルはようやくまともそうなバイトを見つけることが出来た。

オルガ「ここ、接客業だし、比較的安全だと思うよ?」

バベル「よかった、ここなら大丈夫そうだな。 カフェか。まぁ、運んだり注文聞いたりするだけだろうしな……」

しかしバイト先は思ってた所と全然違っていた。

バベル「何でこうなった………?」

バベルは驚きを隠せなかった。何故なら自分がフリルの大量に付いたメイド服姿になったからだ。

バベル「接客ってコッチの事かよ……! オルガアイツ……!」

ここは人外カフェ、人とは違うモンスター達が接客をするカフェである。
開店前、バベルが待っているとメデューサ、アラクネ、出雲達がやってきた。

メデューサ「あなたがバイトのバベル君ね。 メデューサよ、よろしく。」

バベル「あ、よろしくお願いします。」

メデューサ「はい!それじゃあまず練習いくわよ! せーの、おかえりなさいませ!ご主人様!」

アラクネ「おかえりなさいませ!ご主人様!」

バベル「おかえりなさいませー、ご主人様ー。」(棒読み)

メデューサ「はい、次笑顔!」

出雲「はい!」

バベル「こうっすか?」

するとバベルのやる気ない態度に腹を立てたメデューサがバベルに巻き付き、迫ってきた。

メデューサ「ちょっとあなたやる気あるのかしら……? 思い通りにならないヤツは嫌いだよ…!」

バベル「んだテメー? 俺は魔族キラーMだぞ?吹き飛ばされてぇのか?」

アラクネ「あわわ……2人とも落ち着いて………」

その時、店長のトリスタンがやって来て2人を離した。

トリスタン「ちょっと2人とも、あんまり喧嘩するとお客さん来なくなっちゃうわよ。 スマイルスマイル。」

メデューサ「あ、すみません……」

トリスタン「バイト君もバイト君で、しっかりやる気出してもらわないと困るわよ。」

バベル「あ……すみません……」(てかコイツオカマかよ……)

トリスタン「さ!気を取り直して始めるわよ!」

店が開くと様々な客が訪れ、店内はあっという間に客で埋まった。

バベル「意外に人来るんだなー……」

茨木童子「何よその言い方。 少なくともアンタの覇者の塔よりは人きてると思うけど。」

バベル「いや商売でやってねーし。」

その時、アラクネが迷惑な客に捕まっていた。

アラクネ「あの、そろそろ離してもらいますか?」

ジル・ドレ「我にはそなたが必要なのじゃ…… 逃げるでない。」

アラクネ「お客様、店内ではメイドにタッチするのは禁止で……」

ジル・ドレ「そんなもの知らぬ。 他には行くな。私と共にいてくれ。」

それを見たバベルはジル・ドレに近づくと、得意のレーザーを放った。

バベル「止めろっつてんだろうが、ジジイ。」

ジル・ドレ「オーボエ!!」

アラクネ「…………………!」

その後、バベルは店の休憩室に呼び出され、エメラルドに怒られた。

エメラルド「お客様に向かってレーザーを放つだなんて不届き者! あそこはとにかく説得しなさい!」

バベル「いや、だってあの蜘蛛女が止めろって言っても止めなかったし……」

エメラルド「口答えする言葉があるなら最初からそれを使いなさい!」

バベル「は、はーい………」

その後バベルはジル・ドレに謝罪を入れて勤務に戻った。
そしてしばらくすると、今度はジル・ドレより迷惑な客がきた。

ムッシュ「ちょっと!店長呼びなさいよ!」

メデューサ「いえ、それは無理です。」

ムッシュ「何でよ!? ミーを誰だと思ってるのよ?あの有名なプロデューサー、[死配人ムッシュ]よ!このミーがアナタたちをスカウトするって言ってんのよ!」

メデューサ「結構です。 店長が出る間もありません。」

ムッシュ「ミーはアナタに聞いてないの!店長呼びなさいって言ってるのよ!」

トリスタン「何の御用かしら?」

騒ぎを聞きつけたトリスタンが厨房からやってきた。

メデューサ「店長……!」

トリスタン「事情は何となく掴めたけど、ウチの子は誰1人あなたには差し上げないわ。」

ムッシュ「何でそこまで意地を張るのかしら? 人外カフェ?今どき流行らないわよ!それよりミーの劇団に来れば今の給料の10倍は出せるわ!」

するとまたバベルが近づいていった。しかし今度はすぐにレーザーを撃たずに説得しようとした。

バベル「お客様、他のお客様にご迷惑なので止めていただきませんか?」

ムッシュ「何よアンタいきなり出てきて!? ――――!アナタ!ミーの劇団に来ない!プロデュースしてあげる!役割がしっかり出来れば給料の上乗せを………」

しかしバベルは我慢出来ず、レーザーを貯め始めた。

バベル「テメーの金なんて………いるかぁ!!!」

そしてバベルはレーザーを放ち、ムッシュを吹き飛ばした。
その後、店は閉店し、バベルが帰ろうとした時、トリスタンがバベルを呼び止めた。

トリスタン「バイト君、今日はありがとうね。 あのムッシュは前から来てたお客さんでね。ウチの子達を自分の劇団に引き込もうとしてたの。」

バベル「あぁ、そうっすか。 別にいいっすよ。俺もムカついたし。」

トリスタン「お礼って言っちゃアレだけど、はい、お給料よ。」

トリスタンから渡された袋を見ると、そこには結構な額が入っていた。

バベル「え!?いいんすかこんなに!?」

トリスタン「いいのよ。[退職金]も含まれてるし。」

バベル「え?ってことは……」

トリスタン「うん♡あなた[クビ]。」

バベル「ですよね~………」

バベルは帰路に着いた時、今日の出来事を振り返った。そしてその経験を生かそうと考えた。しかし……

バベル「覇者の塔でどう活かすんだよ。」

その後、バベルは新たなバイトに就いたという。


ジョン万次郎「調子はどうだい?」「調子はどうだい?」「調子はどうだい?」「調子はどうだい?」「調子はどうだい?」「調子は………

バベル「頭おかしくなりそうだ。」

END

働く破壊神

今回人外カフェを書くにあたって許可をくださったがる吉さん、S to Cさん、ありがとうございました

働く破壊神

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-24

Copyrighted
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