あの子の将来がいいものでありますように
雪が降ったり止んだりが続く冬の日のだいたい夜6時45分、対向から走ってきた人はまだ垢抜けない何かに染まり切れない中学生だった。
まるで全てから逃げるように走っていた。女子中学生の1日はその小さな心では抱えきれないくらい色々なことがあるし、明日になればまた、別のことから逃げなくちゃいけなくなるんだろう。
背中に抱えている荷物だってその小さな体には重すぎる。
日常だって荷物だってだんだん軽くなっていくから大丈夫だよ、ってきっとあの子より10歳くらいおばさんの私は言えるけど、あの子が走っていた理由はただ見たいテレビに間に合わせるためとか、公文に遅刻しそうだからとか、もしかしたらただトイレに行きたくて仕方ないだけかもしれないよね。
まだなんとなく中学生の感覚とか思い出せる自分がちょっとかわいい。
あの子の将来がいいものでありますように