香るは花か君の香か

香るは花か君の香か

まるで双子葉のような

「これ、あの…あげるよ」
そう言って、白い綺麗な花を渡してきた男の子。後頭部を書きながら照れくさそうに笑っている。
「ありがとう」
私はそれにそっけなく答えた。心の中ではすごく嬉しかったけどね。
「き、君に似合うと思ったんだ。だから摘んできた」
男の子は少しまじめそうにそう言った。
「ありがとう…」
私はそれにそっけなく答えた。心の中は晴れ渡った空のように暖かかった。
「…僕はね…?君が…その……」
「何?」
「……好きなんだ!」
ビクッと私の体が疼いた。
「…そうなんだ」
私はそっけなく答えた。目を閉じて花の匂いを嗅ぎながら。
「…うん。私も好き」

と、私の口からは出てきた。
果たして、香るは花か君の香か。

香るは花か君の香か

香るは花か君の香か

まだ分からない思い。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-09

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