無の視界

プロローグ
 現代社会、それは非常に億劫だ。勝手に作られた時間というものに縛られ。時計を見ながら暮らす。人間それが時にものすごく嫌になる。大建大学2年生の東山哲司その一人だ。彼は大学での生活に嫌気を感じていた。彼は勉強はできるほうだった。おかげで高校もいい高校に行けた。大学も地方だが割と有名大学へ行ったほうだ。だが、不満だった。彼はプライドが高かったのだ。そのくせ所詮地方の大学
だ。そもそも大学に入ったのも、今の多くの若者と同じで世間体とプライドのためだ。「はぁ・・・」哲治は大きくため息をついた。理由はない。ただため息をついたのは不安だったからだ。やはり理由はない。いつものように大学近くのアパートから、大学へ猫背のなりながら歩いている途中だ。毎日同じこの光景を見て、毎日同じような人を見る。ただその人たちも、周りの光景も頭の中へは入ってこない。なぜならその人たちと自分は何の関係もなく、頭に入れても意味がないからだ。というより頭に入ってこない。今日もそうなると思っていた。だが普段とは違う、甘い誘惑する香りがした。

無の視界

無の視界

人は過去に経験したことで今を作っています。今見えていることも過去に経験したデータから作り上げています。逆に過去の経験から自分に必要のないことは視界に入らない。また入っていても気づかないものです。この物語の主人公は自分に必要でないのに視界に入ってしまったとき、だんだんそのことが彼にとって必要になってきた。自分にとっての世界を新たに改築していきます。どうぞ読んでください。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-26

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