cheerful person.2

前回のあらすじ

ぼっちの少年「立川 士愉(たちかわ しゆ)」は、高校生活初日に「秋風 華(あきかぜ はな)」という少女に出会った。
華は、ほぼ一方的に士愉に話しかけ、ほぼ一方的に携帯番号とメールアドレスを渡して話を終えて帰っていった。

なんで?

入学式を終え、これから1年間過ごすことになる教室へと入る。中学からの友達と話す人。新しくできた友達に自己紹介をしている人。
皆それぞれの高校生活初日を楽しんでいる。かくいう私も、新しく友達になろうという人が来て、話かけられている。
別に友達ができるのが嫌なわけではない。
ただ・・・つまらない。
この中に、親友と呼べるようになる人は何人いるのだろう。2人、1人、もしかしたら0人かもしれない。
そう考えるとつまらなく思える。表面上だけの友達なんて、疲れるだけだ。
そう思いながらも、笑顔で話しているとき。周りに無関心を貫き通している少年が目にはいった。
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「ハァ・・・。」
溜息にも似た吐息をはく。その原因というのが
「なんかどっと疲れた。同年代の人とこんなに話したのいつ以来だったかな・・・?」
今日の、秋風とかいう女子との会話である。
彼女は、今日の入学式で新入生代表の挨拶という大役を任せられた。
そういう子ならば、たくさん友達ができるだろう。外見も、かわいいと思えるくらい整っている。
それに対し俺は、絶賛友達いない歴6年以上のぼっちである。初めて彼女を見た時も、関わることはないだろうと直感と長年の経験が言っていた。
なのに、彼女はだれかのついででもなく、俺だけに話しかけてきた。仕事しろよ。俺の直感と長年の経験。
そして、話の最後に貰ったこのメモ用紙。そこには、数字とアルファベットが横一列に並んでいる。
まあ、携帯番号とメールアドレスである。あろうことか彼女は、今日会ったばかりの俺に連絡先を寄越してきたのだ。
「どうしろっていうんだよ。俺に・・・。」
ぼっちの俺はあまり携帯電話を使ったことがない。せいぜい親と電話する程度である。
そんな俺に友達と電話やメールをしたという経験はない。ましてや、相手は女子だ。何を言っていいか分からない。
「今日はいいよな。ウン。なんで掛けなかったのって言われたら忘れてたって言えばいいし。ウン、そうしよう。」
自分で自分と会話して、自分で結論を出す。ぼっちの得意分野である。
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学校から一駅離れたところに、私の自宅はある。
自宅と言っても、高校に通う3年間だけ1人で住むことになっているマンションの一室である。
今日は、入学式で新入生代表の挨拶をしたせいか、話しかけてくる人が多かった。
しかし、目にとまった男子生徒のことが気になって、誰も話しかけてこなくなったときを見計らって、彼に話しかけた。
その男子生徒の名前は、「立川 士愉」という名前らしい。シユ、という名前が珍しかったので、今も名前で呼んでいる。
「シユ君、変わった人だなー。友達作らないから人と話せない人かと思ったけど、そんなことなかったし。」
彼に話しかけた理由は、単に気になったからである。何故か1人だけ友達を作ろうともしない姿勢が。
話して、彼が話せない人というのであれば、それで納得できた。しかし、別段そんな様子はなかった。
さらに気になったので、いつでも話せるように電話番号とメールアドレスを教えておいたが、やはり考えてしまう。
「見た目は割といい方だから、見た目でいじめられてたっていう感じはなさそうだし・・・まあ、まだあんまり話してないしね。」
自分だけで考えていても分からない。なら、本人に聞こう。
私はラッキーだ。だって、高校に入ってすぐに、本心を話せる人と出会えたのだから。

cheerful person.2

だらだらと続きそうです。

cheerful person.2

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-26

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