cheerful person
小、中学と友達のいない生活を続けてきた俺｢立川 士愉（たちかわ しゆ）｣。
今年から３年間の高校生活も、慎ましく過ごす予定だった。しかし、ある少女と出会い、その目論見は
大きく外れることになった。
出会い
俺、｢立川 士愉（たちかわ しゆ）｣は、俗にぼっちと言われる人種だ。別にコミュ障というわけではない。ただ、俺は流行りのも興味がなく、
特筆した趣味もないので、周りから｢おもしろくないやつ｣の烙印を押されてしまったのだ。
別に俺も不服とは感じていない。周りと話が合わないのなら、無理に付き合う必要はないと自分でも考えている。
さて、こんな俺だが、勉学はまあまあできる方なので、高校もまあまあ頭の良い私立の高校へと進むことにした。
学校名は、｢私立白上（しらかみ）高校｣。そして今日は、白上高校の入学式だったりする。そしてさらに、今はその真っ最中だったりするのだ。
周りと同じ、灰色のブレザーの制服を着て、席に座って話を聞く。まあ、退屈の一言の尽きる。周りと違ってこれからの楽しみがない分、余計に。
｢続いて、新入生代表の挨拶。｣
頭のなかで退屈だ退屈だと繰り返していたら、いつの間にかこんなところまで式は進んでいた。気が付いたついでに、せっかくだし聞くことにした。
｢新入生代表、あきかぜ はな｣
５０代前半といったところの教師が、人の名前を読み上げた。すぐにハイ、という高い声が返ってきた。
活発そうな顔つき。スッと細い体のライン。ポニーテールで束ねたセミロングの髪。
呼ばれた生徒は、綺麗、というよりかわいいといった感じの女子生徒だった。
その゛あきかぜ゛という女子生徒は、体育館の前へ歩いていき、この場にいる全員にお辞儀をし、新入生代表の挨拶を読み上げる。
｢本日は、新入生のためにこのような盛大な入学式を催してくださり・・・・・・｣
堂々と、緊張している様子もなく淡々と読み上げる。
こういう人前であろうと普段通りでいられる人っていうのは、純粋にすごいと俺は思う
俺は人前に立つことはあまり好きではないし、あんな大勢の人の前で普段通りでいられる自信もない。
この子は、俺と関わることはおそらくないだろうと俺の直感と長年の経験が言っている。見た感じ友達も多そうだし、ぼっちの俺とは対極もいいとこだ。
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・・・前言撤回。めっちゃ関わってる。
｢へぇー。この名前シユって言うんだー。珍しい名前。｣
・・・ナニ、この子。今日の日程が終わり、さあ帰るぞー、と意気込んだところにいきなり
｢ねえねえ。そこの君。ちょっとお話しない？｣
である。他の女子とかも居たでしょ。男子でももっと話せるやつがいるでしょ。ナゼ故、俺？
｢私は秋風 華（あきかぜ はな）。秋の風って書いて、華美の華で゛はな゛だよ。｣
聞いてねえよ。
｢あのさ・・・なんで話し相手が俺なの？もっといい人いるでしょ？｣
とりあえず理由を聞くことにした。これは普通に気になる。
｢シユ君おもしろそうだったから。｣
わー。そこを具体的に答えてほしかったなー。つーかもう名前呼びかよ。はぇーなおい。
｢何がおもしろそうだって思ったの？｣
｢んー。なんかね。他の人と違うなって思って。それなら他の人と話すよりシユ君と話した方がいいなって。｣
｢他の人と違うってのは、まあ分かるけど、なんでそれイコールそっちの方が良いになってるの？｣
｢だってみんなつまんないもん｣
・・・？この子は集団が嫌いなのだろうか？
｢なんでつまんな｢あ！もう帰らなきゃ！｣
・・・ようやく話という話ができたのに、この子は・・・。まあ、これで俺も帰れるのだから良しとしよう。
｢じゃあね。秋風さん。｣
｢あ。ちょっと待って。｣
そう言って何か小さな紙を取り出した。そしてそれを
｢これ私の携帯番号とメールアドレス。シユ君にあげる。｣
俺に渡してきた。・・・いいのか？男女で携帯のやり取りをする仲って結構誤解されるぞ？わかってんのかな？
｢・・・ありがと。｣
｢どういたしまして！！｣
満面の笑みで返される。どういたしましての使い方が少し変だけど、その笑顔に少しドキッとしてしまった。
｢じゃあ、また連絡してねー！｣
そう言って手をブンブン振って教室を出ていく。嵐のような、とはこのことなのだろうか。
とりあえず、俺は高校生活１日目、いきなり変な友人ができてしまったのだ。
cheerful person
前はホラーで今回は恋愛。ジャンルばらばらですね(笑)
Cheerful person.2に続きます。
