短編2
障害者として地上に生誕した時点で、健常者に見劣りする人生を覚悟せねばならない。幼少期は学力や交友関係、成人すると収入や結婚といった部分で遅れを取る。他にも生きる過程で必須項目を備えていないため、バラ色の人生を望むことはほぼ不可能だ。与えられた生命を返還するまで、死を考えない日はないくらい、辛辣な生活を強いられる。
日本に滞在しているとなおさらそのように思う。海外のように障害を受け入れる体制を整えていれば、ある程度は緩和される。差別意識の根強く持っている国で魂を授けられたのは、不幸としかいいようがない。
空気の出し入れを繰り返していてもろくなことはないし、飛び降り自殺でもしようかな。八〇年生きたとて、幸運に恵まれない。
男は産んだ母親を呪いながら、三〇階のビルから飛び降りた。
短編2