戦士の威厳

戦士と尊厳

戦士と尊厳


「それ」は威厳そのもの、戦う男たちが戦地に向かう前に身にまとうのだ。

「それ」を纏う時、彼らは自身を鼓舞したり中には憂鬱に感じる者もいる、


だが彼らは、彼ら自身、彼らの家族、家を守る為に戦いに出るのである。

一家の大黒柱として。



「それ」はとても色々な意味を戦士に与える。

例えば「それ」は彼らの顔となり彼らを表す一つの指標となるのだ。

わかりにくい言い方になってしまったがライオンの鬣とでも言うべきか。


自身の存在を他者にアピールする為の手段となり、そういった意味で戦士たちの第2の顔となる。


「それ」が立派であればあるほど周りからも一目置かれることも少なくない。


また先ほども『「それ」は戦いの前に身に纏う』と言った通り、身に纏うことが一つの儀式なのである。


その行為を一人でやることもあれば大黒柱を支える妻が請け負うこともある。

儀式の形は多様だ。



そして戦いを終え心身共に傷を負った戦士が自らの休息の地、自宅へ帰還した時。

初めて「それ」は解かれるのだ。

妻や自らの手によって。


「それ」には他にも多くの種類がありそれを身につけることで、他の儀式により強固な意味を持たせることもできる。

「それ」は"色"で分かれていたり、"形"で分かれていたり。



ここで誤解を招かないように一言添えておくが、必ずしも全ての戦士が「それ」を必要とするわけではない。

必ずしも「それ」を必要としない場合もあるのだ。

だが多くの戦士は「それ」を纏い、「それ」が無ければ戦士として扱われないことも珍しくない。




「それ」は多くの戦士の誇りであり、顔であり、尊厳であるのだ。



今年の父の誕生日にはネクタイを送ろう。そう思った、

戦士の威厳

戦士の威厳

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-05

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