テロリスト

テロリスト

「テロ」なんて言葉、誰しもが耳にするが体験はしないものである

私はテロリストだ。

何の目的があって、なんの利益があってテロを起こすのか。
それは自分でもわからない、しかし私はテロを起こす。
私自身が「テロ」と言っても過言ではない。

私の存在は人に痛み、苦痛を与える。何故かと聞かれても私はわからない。

ただ一つ言えるのは私が誰にも好かれていないことだけは明白である。


私は基本的に単独でテロを起こす。しかし時には2人、ほんとたまには3人なんかでも起こす。こうゆう場合は偶然としか言いようがない。

私は4人以上でテロを起こしたことはない。大人数でテロを起こすことは不可能ではないのだが私自身ではどうすることもできない。気がつくとそこに仲間がいて共に戦っているのだ。


他の仲間はどうか知らないが、大人数でテロを起こすことは稀にあるのであろう。


実は私、私達の起こす「テロ」は、世界中で起きている政治や宗教についての、社会に対する"テロ"とは一味違う。

いや、正確には今述べた行為を人はテロと呼ぶので、"一味違う"と言うよりは別物と言ったほうがいいだろう。

私たちのテロには「傷跡」というものがないのだ。

驚くべき話であろう。テロと言うものは多かれ少なかれ痛みを後世に残し、なんらかの形で反省や教訓を人に与えるものである。

私達は違う。私達のテロはほとんど記憶に残らない。

テロを起こした直後や、我々の行動がピークに達した時、その場は地獄と化し、人々はもがき苦しみ涙を流す。

しかしどうだろう。私達がテロを起こしたあと、そこに残るものはなんだろうか。
やはり何もないのである。

よく考えてみればテロを起こしたのにも関わらず、結果として何も残さず消えていく私達に存在価値があるのかと聞かれたら迷わず私は

「ない」

と答えるであろう。
それでも構わないのか?と聞かれても私は

「構わない」

と答えるであろう。


最初にも述べた通り私は、何故自分がテロを起こしているのかわからないのだから。

意味なんて与えられなくても私はそうあるべきと自分でわかっているのだから。


おっと自己紹介をまだしていなかった。
まあ私自身に名前なんてものは無いんだが、人は私たちをこう呼ぶ。

「口内炎」と。

テロリスト

テロリスト

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-03

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