仮面家族 1

あなたは今、隠された真実を知っていますか?

たった、1つの隠されていた真実は幸せだった日々を壊していく。
そして、あたしたち家族を暗闇に突き落としたうえから大きく深い傷を負わせていくんだ。
あたしが隠されていた真実に気付き始めたのは中学三年の夏だった。
学校の帰りに近くにドラッグストアに寄った帰りのことだ。父が対向車線にいた赤い車の女性に手を振ったように見えた。それは一瞬のことだった。あまりの一瞬の出来事に気のせいだと思い、あたしは見間違いと捉えてその場面を心にしまっていた。けれど、それは見間違いではなかったということに一週間も絶たずに確信した。
父はその赤い車の女性とすれ違うときは必ず手を振り、時にはクラクションを鳴らす時もあった。あたしは不審に思い、父に問いかけた。
「ねー。あの女の人だれ?」
父は答えた。
「あの人はね、パパの友達だよ。」と。
まだ無邪気だったあたしはその父の言葉に1つも疑問も持たなかった。
その日の夜の事だった。父は仕事といって家を出ており、あたし、母、2人いるうちの下の兄、そして父の母である祖母が家に残っていた。
二階てあたしが勉強をしていると、母があたしの部屋にはいってきた。その時の母は今までに見たこともないような悲しくも苦しそうな顔をしてあたしにはなしをしはじめたんだ。



2に続く。

仮面家族 1

仮面家族 1

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-21

CC BY-NC-ND
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