谷底をあるくひとへ

草木のない
水もない
真っ暗な谷底を
ただてくてくとあるいている

どこから来たのか
どこへ向かうのか

考えることもせずに
ただてくてくと二本の足をうごかして


ときどきは立ち止まる
空を仰いでみる

月はなく
つめたい星の光が
額におちる


またてくてくとあるきはじめる
かすかな風が頬をなでる

花の香りをかいだ気がした

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-27

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