聖戦の瞳
銃声と爆発音人間の断末魔が響き渡る中、一人の兵士は幼い少女に銃を突きつけていた。
少女の赤い瞳からきれいな涙の雫が零れ落ち小さな震えた声で少女は兵士に言った
「助けて」
兵士はためらいもなく引き金を引き言った
「すまない」
銃声が響き渡った倒れこんだ少女に兵士は言った
「今日お前は死んだ。だが、今日からお前は生まれ変わった生きろここで死んだ人達の分まで・・・。」
兵士はポケットから小さな紙切れを少女の小さな手に握らせた
「ここに書いてある場所に迎え、必ず助けてくれるだろう。」
少女は小さく何回も何回もうなずき震える足を立たせ振り返ることなく走り続けた・・・。
兵士は背を向けて走り去る少女の後ろ姿を眺め小さく呟いた
「君には自分で進もうとする強い心と立派な足がついているじゃないか迷わず進め。」
この幼い少女を生かしたことがこの世界を大きく変えることを兵士も少女も
まだ何も知らなかった、この物語の始まりである。
始まりのデザイア
「見てあの瞳真っ赤で恐ろし早くどこか行けばいいのに・・・。」
「気味が悪いわよね。」
ヒソヒソ・・・。
私はこの街では、ちょっとした有名人だあの大量虐殺の生き残りなのだから私の事を意味もなく嫌う者いれば恐れる者や怒りに満ちる者色々な人間がいる。
だが、赤い瞳を馬鹿にされるのは少し傷つくしこんな瞳正直いらないと思う。
それに、何回も命を投げ出そうと思ったこともある。
だが、この命を助けてくれたあの男の兵士が言った言葉を忘れたことはないそれに、私がこの街に来て助けてくれたアイビー夫婦にはとても感謝している
だから、私は恩を返すまで死ぬことはない。
だが、昔のことは捨てたはずなのに独りになると胸が締め付けられ苦しくなる耳を澄ますとあの日の人間の断末魔が私の聴覚を支配する復讐心が無いとは言い切れないが
そんな事をしても哀しむ人の方が多い意のは解っているだから私は決して弱っている所は誰にも見せない。
だが、悲しくても苦しくなっても涙が出ないあの日から・・・。
トントン。ドアを叩く音が部屋に響いた。
「国の者ですが、アンス殿はおられますか。」
ドアを開けると、勢いよく大勢の黒服の男達が家の中に入り銃を突きつけたこの中のボスのような人が家の中に入り言った。
「アンス・アイビーとはお前のことで間違いないな、とらえろ。」
黒服を着た男達がアンスを囲み手錠をかけた。
アンスは、抵抗をしたらアイビー夫婦の命はないと察し一切抵抗をしなかった。
だが、
「アンスを離しなさい、その子は私達の子供よ」
ボスの黒服の男に猟銃を突きつけた。
黒服の男は言った
「情けない我々に逆らったらどうなるか解っているのかね。殺せ。」
「やめろ!!!!!!!!!!打つな!!!!!!!!!!」
アンスは怒鳴り叫ぶが全く無意味だった。
黒服の男が放った瞬間銃声が響き渡った
アンスは腰が抜け床に崩れ落ち、アイビー夫婦の体から赤い血が噴き出しピクリとも動かなくなった。
「おばさん・・・おじさん・・・ねぇ、何寝てるの起きてよ何してるのねぇ!!ねぇってば!!!」
アンスの声だけが部屋に響き渡る涙が出ないのをここまで悔やんだことが無い。
「なんで私を狙うのなんでアイビーさん・・・。」
アンスの髪の毛を引っ張り黒服の男が言い放った
「我らに逆らうからこうなるんだ、この反逆者め。」
黒服の男はアンスのひたいに銃口を向け発砲した。
薄れる意識の中、彼女は考えたこのまま死ぬのかでも恩を返す相手も死んだ私は生きる意味がもうないだから死んでもいいか・・・。
白い光がアンスを包み込んだ。アンスは目を覚ますと真っ白な空間にいた
「ここはどこ・・・。私は死んだのね。」
悔しさがこみ上げるがやはり涙は出なかった。
「あれ?アンスちゃん死んじゃったの?かわいそうに。」
アンスは突然のことに戸惑うが声のする方を向いた、長髪の白髪少年が少し距離を置いて立っていた。
「誰?神様?」
白髪の少年は笑顔でこちらに近づき徐々に怒りに満ちた表情になりアンスに殴りかかってきた。
アンスに馬乗りになりアンスの頬を思いつ切り殴った白髪少年は言い放った
「お前さ、自分のことなんだと思ってんの普通の人間だとでも思ってるの??そうだとしたらあと十発追加で殴らなきゃね
んで、あのアイビー夫婦だっけ??あの馬鹿夫婦傑作だよな。お前なんて助けちゃってホント馬鹿だよな!!!!!」
「・・・馬・・・じゃ・・・い。」
「はぁ??なんて言ってるかわかんねぇな!!!!!!」
「馬鹿じゃねぇって言ってんだよ!!!さっきから何なのあんた誰よ!!!!」
唖然とした顔で急に噴き出して笑い始めた白髪の少年は言った
「もう一人のお前だけど俺には別の名前があるデザイアだはじめましてだけどな。」
「もう一人の私??えっ・・・。わけわかんない・・・。」
アンスは混乱してる中デザイアはアンスの頬をつかみ言った
「お前今体から魂抜けてる状態だから長くこの状態ではいられないけど簡潔に話すとな
お前みたいにここに来れる人間は少ないだからここにいる俺みたいなやつが望みを
叶えてやんなきゃならなって訳で何がほしい??金か??力か??なんだ」
デザイアはアンスの顔を覗き込み聞きこんだ
・・・・・・・・・・・・・・
「理解してない??」
「・・・。うん。」
頬を思いっきりつねりデザイア言った
「だからお前何がほしいかいえ。」
アンスは考えたそして思った自分の赤い眼は人間に怖がられる対象であったこと
「目を、デザイアあなたの目と私の目を好感してほしいの。」
デザイアは唖然としていたが笑いだし
「ふはははっははっははっっっ!!!!おもしれ!!!!俺の目をくれてやる!!!!」
とたん白い空間が地震のように揺れ崩れ始めた
「時間だ次はしぬんじゃねぇぞ!!!!!」
「待ってっ!!!!!!」
どんどん意識が薄れ声だけが聞こえた
「お前はまだ死んじゃならねんだよ。生きろよ。馬鹿女!!!」
その声がとてもあの時に似ていて私は少し微笑んだ
青い瞳と赤い瞳
意識が戻ってくるにつれ全身が痛む目を開けるとアンスは牢屋の中にいた、体が痛む中体を起こしたそのときアンスの体は硬直した嫌な汗が頬を静かに落ちた。
柵越しに数名の黒服と人間の肉を食べる怪物のような物体が一体、こちらに気がついたのかアイビー夫婦を銃殺した黒服の男が柵越しに近づきアンスに言い放った
「おはようございます。あなたの額に一発撃ち込んだのですが死んでないとはつくずくばバケモノですね。」
ニヤニヤと不吉な笑みを浮かべまたしても銃口をアンスに向け叫ぶように笑った。
「バケモノって何のことよ。私よりあんたたちの方がよっぽどバケモノよ。」
黒服の男の笑いが止まったそして人の肉を食らう怪物を指さし不吉な笑みを浮かべた。
「気付かなかったのかね?私の可愛いペットが食べてるこの人肉誰のお肉なのかな?」
衣服は取りはがされているが顔が少し見えアンスの鼓動が速くなり手足の震えが止まらなくなり、アンスは震える声で黒服の男に聞いた。
「アイビーおばさん・・・。なのか・・・。」
黒服の男がニヤニヤしながら男は言った。
「それだけか?君頭悪いねこの場に君をかばった夫婦二人ともいるにきまってるじゃないか!!
僕は夫婦離ればなれにするほど残酷な男じゃないよ。」
アンスは自分の人間代の脳で考え考え考えた。
「おじさんが、こんな・・・。」
黒服の男はアンスに近づき言った。
「君のことをかばうからこんな風に体作りかえられちゃったり無駄な血を流すはめになったのに
残念だよ。全部君のせいだよ、大事な国の科学者をなくしてしまったじゃないか。」
「少佐!!もうじき東軍のセイシス大佐がお見えになります!!」
「もう少し、僕の相手をしてもらおうかな。」
アンスのきれいな赤い瞳から一粒の涙が零れ落ちた瞳を閉じ
「あなたには裁きを与えなくてはなりません。死ぬ覚悟はできてるだろうな!!」
黒服の男の首をつかみ立ち上がり黒服の首を絞め続けた。
「早く打ち殺せ!!何をしている!!早く!!」
後ろに控えている黒服の兵がアンスに向かって発砲し続けたかろうじて逃げれた黒服が言った。
「あいつ瞳が左右違う色だぞ・・・。」
「あれだけ打ちこんだんだ死んでるだろ!!」
確認をしに兵士が向かうと牢をみるとそこはものけの空になっていた。
「誰もいません!!逃走しました!!」
「ふざけるな!!探せ!!取り逃がすな!!」
確認に向かった兵士は口をあけて怯えた目で黒服の少佐の方を見て言った。
「しょ・・・少佐後ろ・・・。」
それだけ言った兵士は白目をむきながら倒れこんだ少佐は恐る恐る後ろを振り向くと
そこには先ほどアンスに発砲した銃弾をすべて手に持って怒りに満ちた表情ですべて握りつぶし
床に落としたその光景をみた黒服の兵士数名は叫び逃げ始めた。
「ぎやややぁぁぁぁぁ!!」
人の断末魔が聞こえアンスは振り向くとアイビーおじさんがもととなっている怪物が次々に兵士を殺し始めた。
アンスはそれを見て、黒服の少佐の首をつかみ言い放った。
「おじさんを元に戻す方法を教えろ!!国は何を考えてるんだ!!こんな残酷な事を!!」
楽しそうに目をぎらつかせ自分の瞳を見つめる、アンスには彼が私に殺せと目で訴えているように見えた。
「戻すことはできないですね。しいて言えば殺すしかないしょうね。」
これまでにない絶望に襲われたがアンスは思った怪物となったしまったおじさんを殺し自分も死のうと・・・。
聖戦の瞳